『遠の朝廷にオニが舞う』 作品解説&エピソード

『遠の朝廷にオニが舞う』の世界⑱役小角と宇宙皇子(by 珠下なぎ)

皆さんこんにちは、珠下なぎです。

今日は前回の続きで、修験道の開祖である役小角(えんのおづぬ)と鬼との関りについて、お話したいと思います。

役小角像(石廊崎)

 

修験者と鬼が深いかかわりがあることは、産鉄の技術を持つという観点から、前回のブログで述べました。

ところが、修験道の開祖である役小角は、単独で鬼と深い縁を持っているのです。

 

役小角は7世紀後半に実在していたと伝承される修験道の開祖です。

役小角は飛鳥時代、奈良の金剛山で修験道を開いたと言われていますが、この人にはこんな伝説があります。

 

生駒山に、前鬼・後鬼という夫婦の鬼がいて、人々に災いをなしていた。役小角はこの鬼たちを不動明王の術で調伏し(一説には夫婦の子どもを隠して子を亡くした人の痛みを訴えたとも)、以後鬼たちは役小角に従って、彼のために働いた、というものです。

 

役小角については、昭和の終わりから平成の初めにかけて一大ブームとなった「宇宙皇子(うつのみこ)」という作品で取り上げられていたのでご存じの方も多いのではないでしょうか?

ちなみにこの作品では、役小角は金剛山で修験者の集団を指導しており、その修験者たちは鬼と呼ばれています。

主人公の宇宙皇子は壬申の乱の年に角を持って生まれた故に鬼と呼ばれて里を追われ、役小角の母に育てられ、やがて役小角に弟子入りして成長していくという物語です。

 

「遠の朝廷(みかど)にオニが舞う」は「宇宙皇子」へのオマージュでは、というご感想も頂いております。

 

修験道と鬼は、このように深い関りを持っているのです。

 

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

 

 

 

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