『遠の朝廷にオニが舞う』 作品解説&エピソード

『遠の朝廷にオニが舞う』の世界⑲斉明天皇と鬼その1(by 珠下なぎ)

皆さんこんにちは、珠下なぎです。

 

竈門神社のお話に引き続き、作品の舞台と縁の深い場所と鬼との関わりについて、お話したいと思います。

 

今回は、少し話題を変えて、日本書紀に書かれた、最古の部類に属する鬼について。

 

「遠の朝廷(みかど)にオニが舞う」は、天武2年(673年)、新羅からの公使を大宰府に迎える場面から始まります。

 

この時即位した天武帝は、先帝である天智帝の弟で、672年、天智帝の遺児・大友皇子と帝位を争って勝ち、即位します(世にいう壬申の乱ですね。ちなみに「宇宙皇子」は壬申の乱に徴兵されて死んだ農民の子です)。

 

ところがそれより少し昔、「遠の朝廷(みかど)にオニが舞う」の舞台近くの九州北部で、鬼に遭遇した帝がいたのです。

 

その帝の名は、斉明天皇(さいめいてんのう)。

天智天皇・天武天皇らの母で、以前にも皇極天皇(こうぎょくてんのう)の名で、夫の舒明天皇(じょめいてんのう)の後を継いで即位した女傑です。

 

「遠の朝廷(みかど)にオニが舞う」より約10年前の661年、斉明帝は息子の中大兄皇子(のちの天智天皇)と共に、北九州を目指します。それは、日本と親交の深かった百済(くだら)の救援の要請に応じ、新羅(しらぎ)を討伐するためでした。

それが2年後の白村江の戦いにつながるわけですが、この時斉明天皇は、太宰府にほど近い朝倉の地で、二度も鬼と関わることになるのです。

 

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

 

 

 

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