サブカル チェリまほ

チェリまほキャラの魅力④藤崎希編

はじめに

皆さん今日は、珠下なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

 

今回もチェリまほキャラの魅力記事(再掲)の続きです。

柘植さんや湊くんについても書いていますが、今回は先にこの方のことを書きたくて(笑)。

チェリ家なら、一度はあこがれるポジション、我らが女神(笑)の藤崎さんです。

 

実写と原作の藤崎さんの描かれ方の違い

藤崎さんは、安達くんと黒沢さんの会社の同僚で、原作では腐女子として、ドラマ版ではアセクシャルの女性として描かれます。原作では二人より後輩、実写版では同期のようです。

しかし、どちらにも共通しているのは、「安達くんと黒沢くんの幸せを願う」ということ。

ここは藤崎さんの一番大事なところなので、絶対にぶれないようにしたと、ananのインタビューで本間プロデューサーが言われていましたね。

 

実写版の藤崎さんについて

アセクシャルという言葉は、今でこそだいぶ知られるようになりましたが、数年前までは知らない方のほうが多かったのではないでしょうか?

 

アセクシャルとは、「他人に恋愛感情や性的欲求を抱かない」人のことで、人口の約1%ほどいると言われています。

LGBTQのQの一つです。

恋愛感情がないだけで、家族の情愛や友情は普通に持っており、決して「感情のない冷たい人」ではありません。

 

ドラマの藤崎さんを「腐女子」ではなく、アセクシャルの女性として描いたのには、それなりの理由があるように思えます。なぜなら、ここにも社会派ドラマとしてのチェリまほの側面が表れているからです。

社会派ドラマとしてのチェリまほについて書いた記事はこちら↓

チェリまほでは、様々な形の恋愛が許容されるべきだというメッセージが出されていますが、その中には、「恋愛をしない自由」も含まれます。

恋愛の話をしょっちゅうされることに辟易し、「普通を演じるのにも慣れたし」と半ばあきらめたように心の中で呟く藤崎さん。

藤崎さんの同僚に、藤崎さんの親対策として「彼氏のふりをしろ」と強要されてしまった安達くん。

安達くんは、藤崎さんが「恋愛に興味がない」ということを魔法の力で知った後、藤崎さんにこう言います。

「藤崎さんは仕事すごく頑張っていて、毎日楽しそうだから、心配しないでって、俺がお母さんに伝えますよ」。

 

このセリフはドラマオリジナル。

主人公である安達くんが、「恋愛をしない人生があってもいい」と明言する。

チェリまほというドラマを通して、「様々な恋愛形態を許容する社会が望ましい」という制作陣のメッセージが視聴者に伝えられるのです。

 

原作の藤崎さんと腐女子という生き物(?)について

藤崎さんの属性~腐女子とは

ドラマの藤崎さんがアセクシャルの女性として描かれる一方、漫画の藤崎さんは「生粋の腐女子」として描かれます。

安達くんと黒沢さんをネタに、常に妄想を繰り広げる藤崎さん。その妄想力は黒沢さんといい勝負です。

それにもかかわらず、鉄壁の表情筋でポーカーフェイスをキープ、妄想のかけらも表に出さない藤崎さん。

まさに腐女子の鑑です(笑)。

 

腐女子とは言うまでもなく、BL(ボーイズラブ)作品を愛好する女性たちのこと。多分私も(笑)。

腐女子→貴腐人→汚超腐人と進化する生き物という説もあるらしいですが、進化条件は謎に包まれています。誰か知っていたら教えて下さい。年齢なのか腐女子歴なのか。それとも他にあるのでしょうか。

そもそも腐女子という生き物(?)について、学問としてアプローチしたものってあるのかな? と思って検索してみたところ、出るわ出るわ(笑)。

意外にあるんですね、腐女子を真面目に研究した論文って。

 

そんな中から、一つ、面白い論文を発見したので、ご紹介したいと思います。

 

論文「腐女子の『女子ジレンマ』」

2017年、愛知淑徳大学から発表された、「腐女子の女子ジレンマ」。

109人の女子学生を対象とし、それぞれが好んだ漫画作品から「恋愛群」「非恋愛群」「腐女子群」に分け、

①ジェンダーパーソナリティに対する否定的・肯定的側面

②恋愛という現象自体への態度

③伝統的な性役割観に基づく母親性を信じる度合い

④他者に対する認知と情動の反応傾向

⑤他者への注意の向けやすさとその方向

⑥プライバシー志向尺度

 

の6つを数値化して比較するというもの。

平たく言えば、恋愛漫画を好む女子・BL漫画を好む女子・恋愛ではない漫画を好む女子が、ジェンダーや恋愛についてどう思っているのか、それぞれに違いがあるのかを示した研究なんですね。

 

結果から言うと、統計的に有意差があったのは、次の3つ。

ジェンダーパーソナリティについては腐女子群と他の群では差がなく、「腐女子は女性性が未熟」「女性性を嫌悪している」というよくある誤解は間違いであることが分かります。

 

②では、恋愛群で恋愛を「大切・必要」と思う度合いが、非恋愛群と腐女子群に比べて高かった。

③は、伝統的母性を信奉する度合いは、恋愛群・非恋愛群・腐女子群の順に高く、それぞれに有意差があった。

⑥個人のプライバシーを志向する尺度においては、恋愛群が優位に低く、他の2群で差がなかった。

 

②と⑥の結果からは、腐女子は恋愛をさほど大切とは思っておらず、どちらかといえば一人の時間を大切にしたタイプであることが分かります。

「腐女子は恋愛には人一倍憧れがあるが、自分の容姿や性格に問題があって男性に相手にされない。だから代替手段としてBLを好む」という、よくある偏見が間違いであることも分かります。

 

この結果を大雑把にまとめると、

「自らの女性性についての認識は平均的だが、自立を好み、恋愛にはさほど重きを置いておらず(恋愛をしないという意味ではない)、伝統的な母親的役割への押し付けには反発を覚える」

という腐女子像が浮かび上がってきますね。

 

何となく、感覚的に分かりますね、うん(笑)。

 

タイBLのブームを分析した朝日新聞の記事で、タイでBLが女性に支持される理由として、「伝統的な母性押し付けに対する反発」が挙げられていましたが、この論文を読むと、朝日新聞の分析は的を射たものと言えそうです。

 

自分が「主体的に女性である」ことには肯定的でも、「女性だからこうすべき」「母親だからこうあるべき」的に押し付けられることに対しては、「それちょっと違うんじゃない?」と言いたくなる。

そういう女性が、女性的・男性的役割に縛られない、フラットな恋愛の一つの形として、BLを愛好するということなのでしょうか。

 

これはものすごく大雑把なまとめ&なぎの主観が入っているものなので、きちんと論文を読みたい方はこちらをどうぞ。

JCSS2017_OS03-3.pdf

 

愛知淑徳大学という大学は寡聞にして存じ上げなかったのですが、明治時代の女学校に始まり、当時から女性も自立した一人の個人としてあるべきという理念のもとに教育を行い、現在は「違いを共に生きる」ことを掲げて、障がい者と健常者が共に学ぶことや自然との共生などをテーマに教育を行っているそうです。

非常に興味深い論文でした。

 

さいごに

最後に蛇足です。

漫画安達くんは、藤崎さんの心の声を中途半端に聞いてしまい、「藤崎さんが自分のことを好き」と誤解したままです。

そのことをすっかり忘れて黒沢さんに告白しに空港まで走り、藤崎さんの心の声のことはすっぱり頭から抜けてしまったままのようなんですが、それ、そのままでいいんでしょうか(笑)。

誰か安達くんの誤解を解いてあげて(笑)。

時間が経てば経つほど、優しい安達くんは、思い出した時に良心の呵責に苦しみそうだから(笑)。

 

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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