『遠の朝廷にオニが舞う』 作品解説&エピソード

『遠の朝廷にオニが舞う』の世界⑭日本書紀に登場する最古の鬼(by 珠下なぎ)

皆さんこんにちは、珠下なぎです。

前回は出雲風土記に登場する、日本最古の鬼についてご紹介しました。

 

今日は日本書紀における最古の鬼を紹介すると共に、鬼についてのもう一つのルーツを紹介したいと思います。

 

日本書紀において初めて鬼が登場するのは、日本書紀の欽明天皇5年(西暦544年)の記事です。

これは、佐渡島に蝦夷もしくは満州から渡って住み着いた人を、その島の人が鬼と呼んで忌み嫌い、避けたという記事です。

 

この場合の鬼は異国人、自分たちとは異なる文化や習慣を持つ人々、と理解できます。

 

鬼を外国人とする説は、もっと時代が下ってから、広く流布しています。

平安時代の鬼と言えば有名なのが酒呑童子ですが、酒呑童子は「長身にさかさまに生えた赤い髪」の持ち主で、「人の生き血を飲んでいた」と伝えられ、これは赤い酒=葡萄酒を飲んでいた西洋人ではないかとする説もあるようです。

 

また、江戸時代には、民間では鬼=ロシア人説が広く信じられていた、とも言われています。

 

いずれにせよ、「自分たちと異なる文化を持ち」「自分たちの理解の及ばない人々」を鬼と呼んだ、というところにおいては、縄文の神々や産鉄民族を鬼のルーツとする説と、根底には同じものが流れているような気がします。

 

最後まで読んで下さって、ありがとうございました。

 

 

 

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