『遠の朝廷にオニが舞う』 作品解説&エピソード

『遠の朝廷にオニが舞う』の世界⑩産鉄民としての鬼その3(by 珠下なぎ)

皆さんこんにちは、珠下なぎです。

 

産鉄民=鬼、という視点から見た場合、鬼退治の歴史というのは、すなわち朝廷に従わない、製鉄の技術の持った人々を朝廷の支配下に取り込むための戦いの歴史ということになります。

 

日本で製鉄が始まったのは以前は5世紀くらいからと考えられていたようですが、九州北部などの大陸に近い場所では、さらに100~200年ほどさかのぼるのではないかと言われています。

 

古代の製鉄炉は、後に有名になる足踏み式のたたら製鉄よりもさらに原始的で、粘土で固めた炉の中に木炭と鉄の原料(鉄鋼石や砂鉄)を入れ、ふいごで風を送って炉の温度を上げる、という原始的なものでした。

5世紀以前は発掘場所によって炉の形式はばらばらだったそうですが、7世紀ごろから、製鉄炉の様式は比較的そろってくるそうです。

それぞれ独自に製鉄を行っていた人々が、朝廷の管理のもとで製鉄を行うようになったのではないか。

そんな推論が成り立ちます。

 

特に7世紀は、663年の白村江の戦いでも分かるように、唐・新羅を敵に回した日本では、鉄の需要が高まると同時に、大陸から鉄鉱石の輸入ができなくなります。

これをきっかけに、国内での鉄生産を促進する必要があり、その過程で鉄民族の取り込み―時には武力を伴った――が行われてきたのではないかと想像できます。

 

その過程で、様々な鬼退治伝説が生まれた可能性があります。

 

桃太郎においては、桃太郎は鬼退治の後に、鬼が持っていた宝の山を戦利品として強奪(?)してきたわけですがこの宝とは「鉄」を指していると考えられます。

 

時代が下って、平安時代の酒呑童子も、「鉄の門を構え、鉄で作られた館に住んでいた」と伝えられています。

酒呑童子たちは朝廷に従わず、山奥で製鉄を続けた民族の末裔だったのか。あるいは一度は朝廷の支配下に入り、何らかの原因でその支配から逃れて、山奥に隠れた民族だったのか。

色々な想像を掻き立てられますね。

 

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

 

 

 

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