皆さん今日は、珠下(たまもと)なぎです。
今日も来て下さって、ありがとうございます!
さて、今日は歴史記事に戻ります。
少し前になりますが、筑前の国一の宮・筥崎宮に行って参りました!
大変見どころの多い神社で、駆け足で回っても一時間はかかります。
今から行かれる方は、時間に余裕をもって行かれるようにして下さいね。また、様々な謎も……?
それではご案内します。
1.大変社格の高い神社・筥崎宮
筑前の国一の宮というのは、筑前の国で一番社格の高い神社という意味です。
原則一国につき一社ですが、国によっては複数あるところもあります。
筑前の国も、筥崎宮のほかに、博多の住吉神社が一の宮として定められています。
一の宮について詳しいブログはこちら↓
日本全国の一宮神社|都道府県別まとめ (xn--u9ju32nb2az79btea.asia)
明治時代に定められた社格制度では官弊大社であり、一番位の高い神社に分類されます。
また、戦後、伊勢神宮を除くすべての神社は平等とされましたが、一部の神社は神職の扱いなどにおいて一般神社と同じ扱いをすると不都合があることから、「別表神社」として区分けされました。
筥崎宮はこの別表神社でもあり、数ある神社の中でも上位に置かれていたことが分かります。
2.筥崎宮の神宝「敵国降伏」
筥崎宮は先述したように社格が高く、お祭りなどでなくても常に参拝客でにぎわっています。参道はすがすがしいほどにまっすぐ……ここの主祭神は応神天皇です。
しかしこの神社を参拝して一番目をひくのは、こちらでしょう。
「敵国降伏」と堂々たる文字。何やら恐ろし気な気配です。
筥崎宮のホームページには、このように書かれています
創建の時期については諸説あり断定することは困難ですが、古録によれば、平安時代の中頃である延喜21年(西暦921)、醍醐(だいご)天皇が神勅により「敵国降伏」(てきこくこうふく)の宸筆(しんぴつ)を下賜され、この地に壮麗な御社殿を建立し、延長元年(923)筑前大分(だいぶ)宮(穂波宮)より遷座したことになっております。創建後は祈りの場として朝野を問わず篤い崇敬を集めるとともに、海外との交流の門戸として重要な役割を果たしました。
以後、歴代の天皇も御宸筆を納めているそうです。
蒙古襲来後に、亀山上皇も御宸筆を納められていて、楼門に掲げられているのは亀山上皇のもの。しかし、始まりは醍醐天皇のようです。
筥崎宮は蒙古襲来とも関連が深いので、蒙古襲来の時に初めて作られたものかと思ってしまいますが、違いました。
しかし、この時代は遣唐使は廃止され、東アジア諸国との大きな武力衝突などはなかったはず。
では「敵国」とは? 大きな謎が残りますが、次に進みましょう。
3.神功皇后・応神天皇ゆかりの「筥松」
先ほども述べたように、ここのご祭神は応神天皇です。同時に、神功皇后と玉依姫も祀られています。
この神社の境内に、「筥松」があります。
これは、神功皇后が応神天皇を出産した後、胞衣(胎盤)を箱に入れて埋め、目印に松を植えたとされるもの。
「筥崎」の由来でもあります。
ところが、このあたりの地名の「はこざき」は「箱崎」と表記します。
これは、「筥崎宮」と同じ字を使うのは畏れ多いという理由だそうですが、「筥松」という地名はそのまま残っています。
4.時系列の謎
応神天皇出生由来の地・敵国降伏・蒙古襲来……バラバラにキーワードを拾い集めてくと、なんとなくつながっているように見えますね。
「ふーんなるほど。応神天皇出生由来の地だから、応神天皇を祀ってあるんだな。蒙古襲来の国難に対して天皇が『敵国降伏』の御宸筆を納められたんだな」
というストーリーを頭の中で構築してしまいそうになります。
けれど、よくよく時系列を見ると、ちょっと違います!!
①応神天皇誕生、筥松が植えられる(4世紀ごろ)
②醍醐天皇が「敵国降伏」の御宸筆を下賜される(921年)
③筑前大分宮(飯塚市)を遷し、筥崎宮とする(923年)
④蒙古襲来(1274年)、亀山上皇が「敵国降伏」の御宸筆を納める
今祀られている応神天皇は、筑前大分宮から遷されたもの。もともとあった筥松とは関係ありません(筥松があったからこの地が選ばれた、というのはあるかもしれませんが、その間には600年ものブランクがあります)。
また、「敵国降伏」の御宸筆は、蒙古襲来より300年以上も前に始まっているのです。
では、「敵国」って?
そして、「敵国降伏」の御宸筆の下賜と筥崎宮の創建はほぼ同時に起こっており、「敵国降伏」の御宸筆の御宸筆の下賜が筥崎宮の創建のきっかけになったと考えられますが、これについての詳しい説明は筥崎宮のHPにはありません。
何となくHPを見ていると、蒙古襲来時代のものと誤解しそうになります。
謎は深まるばかり。うーん。どうやら、秘密は筑前大分宮にありそうです。
長くなりますので、今日はここまでにさせて頂きます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!