『大江山恋絵巻』 作品解説&エピソード

『大江山恋絵巻~人の巻~』キャラ紹介その⑥その他のキャラ達(大江山編)

はじめに

皆さん今日は、たまなぎこと珠下(たまもと)なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます。

今回もたまなぎの新作『大江山恋絵巻~人の巻~』キャラ紹介。

大江山に暮らす、メインキャラ以外の皆さんです。

ネタバレはありませんので、安心してお読み下さい。

 

大江山に暮らす人々

大江山には、酒呑童子と茨木童子、姫たちの他にも様々な人たちが暮らしていました。

「この山に棲むものは皆、悲しみを抱えている……」

酒呑童子はそう言います。では、どのような人々がこの山に棲んでいるのでしょう。作品中に出てくるのは、次のような人々です。

①金熊童子

②石熊童子・星熊童子

③萩さま

④紅丸・黒丸 それでは、順にみて行きましょう。

 

鬼の名を持つ者、そうでないもの 

金熊童子

茜が大江山に来てから、浅茅の次に出会うのが金熊童子です。いえ、本当は茜は大江山に着いた夜、金熊童子の姿を見ているのですが、夜だったことと、その風体があまりにも異様なものだったので、人ならぬものと見間違えてしまうのです。

茜が浅茅に金熊童子を紹介された時の場面です。

顔にかかった前髪の隙間からのぞく片目は、射るように鋭い輝きを放っているが、もう片方はひきつって固くなったまぶたの後ろに隠されている。足はよく見ればきちんと二本あるのだが、片方の足には力が入らないのか、反対側の足よりも痩せ細り、ずるずると地面に引きずられているのだった。
異様な風体を前にして、どう反応していいのか分からず、わたしはすがるように浅茅を見上げた。

怯える茜に、浅茅は金熊童子の姿は、製鉄に従事したことによる職業病だと説明します。そして、製鉄の技術が、どれほど大江山の人々の暮らしを助け、豊かにしているかも。それを聞いた茜は、自分の無知を恥じ、自分も皆に役に立つ仕事をしたいと強い思いを抱くのです。

 

石熊童子・星熊童子

石熊童子・星熊童子の二人は、城の警護役を担っている若者です。

この二人と金熊童子は、同じ鉄の民の出身。酒呑童子たちの時代よりもはるか昔、製鉄の技術を持つ者たちは、鬼と呼ばれていました。大江山には酒呑童子たちの時代よりもはるか昔から、鬼退治の伝説が残っています。(酒呑童子以前の大江山の鬼たちについてはこちら↓)

古代に大江山に住んでいた人々は、製鉄の技術を持っていたことを示唆する記述は随所に見られます。金熊童子・石熊童子・星熊童子はその末裔です。大江山で鬼なのは酒呑童子と茨木童子だけですが、彼らが鬼の名である「童子」を名乗っているのは、そういうわけなのです。彼らの過去は、酒呑童子の口からも語られます。

 

萩さま

この方は出番は少ないですが、元貴族の姫で、媼(おばあさん)と呼ばれるほどの年配者。多くは語られませんが、茜たちのように何らかの理由で貴族の社会に生きる場所を失い、大江山に生きる道を見出したようです。大江山で家庭を築いて幸せに暮らし、茜たちにも先達として頼りになる存在です。

 

黒丸・紅丸

この二人はまた、別のルーツを持っています。農民出身ですが、業病に冒されたため、村にいられず山中をさまよっているところを酒呑童子に拾われたといいます。

 

茜にとっての大江山

このように、大江山は、様々なルーツを持ち、人の世に何らかの事情で住めなくなった人々が集う場所なのです。茜はこの場所を作中で、このように表現します。

生きることに悲しみを抱え、里で生きる道を失ったものがその悲しみを結び合わせ、引き受け合い、寄りそって生きる場所、それが大江山なのだ。

珠下なぎ『大江山恋絵巻~人の巻~』より

そして茜にとって大江山は、かけがえのない場所となっていきます。茜は、この場所を守りたいと強く願うようになります。しかし、その先には大きな悲劇が待ち受けていて……!? この先はぜひ作品でお確かめください!

 

 

まとめ

・作品中の大江山の住民は、皆それぞれ人の世に生きられない事情を背負った人々である。

・大江山の住人の一部は、酒呑童子の時代以前から大江山に住み、鬼と呼ばれた製鉄民族の末裔である。

・主人公・茜にとって大江山は、次第にかけがえのない場所となっていき、茜はこの場所を守りたいと強く願うようになる。

 

 

最後までお読み下さって、ありがとうございました!

 

 

 

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