はじめに
皆さん今日は、たまなぎこと珠下(たまもと)なぎです。
今日も来て下さって、ありがとうございます!
さて、もともと上映館が少なかった上、福岡でも次々に上映が終了してしまった劇場版『ベルサイユのばら』。
もう劇場では見られないかとあきらめかけていましたが、福岡中心部からやや離れた映画館でまだ上映しているのを発見。車を走らせて行って参りました!
2回目だからこそ気づけたことも沢山あったので、せっかくですから忘れないうちに感想をご報告しようと思います。
全体的な感想
全体的な感想としては、「1回目よりも断然楽しめた!」です。
それは作品の問題というよりも、どうしてもたまなぎに慣れ親しんだ昭和アニメ版の声優さんのイメージが強くこびりついており、令和の声優さんたちや、ミュージカル調で進む物語に慣れるのに時間がかかったためです。
1回目は前知識なしで行ったので、劇中歌のほとんどを声優さんたちが歌っていたということにも、それぞれのキャラの心情を表しているということにも気づかず、せっかくの歌の内容をきちんと聞けていませんでした。
2回目は、何度も配信で歌を聞き、どのキャラが歌っているかも把握してから行ったので、歌と映像の相乗効果を楽しむことができました。
2回目鑑賞で気づいたこと
フェルゼンとマリー・アントワネットの描写について
1回目では、「オスカルを中心に描かれている」印象を強く受けたので、フェルゼンとアントワネットについてはやや描写不足に感じてしまいました。
しかし、2回目に鑑賞してみると、また印象が変わりました。
2回目では、この二人の恋愛に関しては、余分な描写が削り取られているため、キーとなるシーンが印象的に描かれているように思えました。。
アントワネットの心情の変化も、初対面からフェルゼンに惹かれる→フェルゼンがスキャンダルを恐れて去る→虚しさから賭博や奢侈に走る→フェルゼン再訪で恋に燃え上がるという流れが分かり易くなっています。
恋に憧れつつも、何も分からぬ14の子どもの時に、たった一人でオーストリアからフランスに嫁ぎ、内気な夫とは打ち解けられず、孤独と虚しさを抱えていたアントワネット。そこに突然やってきた燃える恋。自分の感情に素直なアントワネットが、夢中になるのも無理からぬことだったと納得させられる描写になっていたと思います。
改めて見ると、若い頃のアントワネットは、素直で無邪気で、ものすごく愛らしいです。
史実のアントワネットは、絶世の美女というわけではなかったそうですが、とても可愛らしく明るく、不思議な魅力で会う人すべてを魅了したと伝えられています。
王妃になったばかりのアントワネットが、「大好きなオスカル、あなたの望みは何?」とオスカルに問うシーンがありましたね。
「アントワネットさまが立派な王后陛下におなりあそばすこと」と誠実な回答を返しながらも、オスカルの顔が一瞬ほころんでしまったのも分かります。「大好き」なんて、可愛すぎるじゃないですか!
そのアントワネットが、誇り高い女王となり、オスカルはとうとう彼女と道を分かちます。そこに至るまでの二人の成長も、声優さんたちは見事に演じ切っています。
また、フェルゼンも、大変魅力的な青年に描かれています。
特に、アントワネットの落馬の責任を負わされて死刑になりそうになったアンドレを、オスカルと共にかばうシーンなどは、原作よりもさらにイケメンに見えましたね。「私も正義のために死ねるぞ」も、原作よりもさらに美しいカットと共に描かれていましたね。
実は、たまなぎ、一回目の鑑賞の時はフェルゼンの目の中の星が気になり過ぎたんですよ。男なのに目の中に星が入り過ぎてこっちの目がチカチカしてくるというか……。
でも改めて見るとやっぱりフェルゼン、美青年ですね。絵に描いたような貴公子……。
つい、脱線しますと、映画版のオスカルは、この時にフェルゼンに惹かれ始めたようにも取れるんですよ。原作版では、アントワネットへの叶わぬ恋に苦悩し、それでも道を外れず、アントワネットを誠実に支えようとする姿にこそ惹かれたように受け取れたのですが、そのあたりの描写が映画版ではかなり短縮されているので。
ということは、ということはですよ! フェルゼンへの片思いの一番最初が、このアントワネット落馬事件の時に始まったとしたら!
やっぱりアンドレがらみではないですか!
「私のアンドレ」を共に守ってくれたからですよね! やっぱり最初からオスカルにとって一番大事だったのはアンドレだったんじゃないですか! 近くにいすぎたから気づかなかっただけで!
噴水と影
オスカルとアンドレは、噴水横で語らうシーンが2度出てきます。
これは、X(旧Twitter)で皆さんが言われていたのですが、字数制限などのせいか、いまいち意味がよく分かりませんでした。
けれど、今回ははっきり分かりましたよ!
1回目は、アントワネットがフランスに嫁いだ直後、オスカルが近衛隊連隊長付き大尉として、ベルサイユに出仕する直前のシーン。2回目は、パリへの出動が決まった、革命直前。
いずれもオスカルはアンドレに「これからもずっとそばにいてくれ」というメッセージを出します。
この時、噴水の水面に映ったオスカルの影が画面に映し出されます。
アンドレがオスカルの「影」であり、二人が決して離れられないことが、ここで暗示されるのです。
こういう効果は、映像作品ならでは。
素晴らしかったです。
ジェローデル、最初からいる!
オスカルの求婚者として、物語後半でのキーマンとなるジェローデル。
この人、原作では中盤からの登場となり、比較的影が薄いのですが、昭和アニメ版でも令和劇場版でも、序盤から登場します。
令和劇場版でも、オスカルが初めて近衛連隊長付きの大尉として出仕した時から、すぐ後ろに突き従っています。セリフは少ないですが、髪型からすぐに分かりますね。しかもオスカルを常に見ています!
この人はオスカルの美しさに惹かれ、軍服姿のオスカルを「痛々しい」と言い、オスカルを妻に迎えようとします。オスカルの信念・その生きざますべてを肯定して受け入れたアンドレには遠く及ばないものの、ジェローデルなりに長いことオスカルを見つめ続け、思い続けていたことがしっかり分かる描写でした。
ちなみに、21世紀になって朝日新聞の土曜版に連載された、ベルばらのキャラたちが登場する4コマ漫画『ベルばらkids』では、この方、猫好きキャラとして登場します。猫相手に赤ちゃん語で話しかける、お茶目なキャラになっています。
この方のファーストネームはフローリアン。映画版で初めて知りました。
パリの描写
今回、福岡市の映画館では売り切れていたパンフレットもゲットできました!
キャラクターデザインにも時代考証が細かく反映されていること、声優さんたちが、キャラの成長を表すのに声を変化させ、苦心されたことなど、感心させられるエピソードが沢山載っていました。
それとは別に、たまなぎばパリの庶民たちの描写で気づいたのは、2階から女性が壺の中身をぶちまけ、通行人が慌てて避けるシーン。
あの中身って、汚物なんですよね。
あの時代には、庶民の家にはもちろん、ベルサイユ宮殿にさえトイレがなく、庶民は室内便器に用を足し、その中身を二階から道に捨てていました(うえっ)。
当時の風俗を知る人には有名な話ですが、原作にも旧アニメにもこの描写はなかったので、令和版にかけられた制作陣の並々ならぬ情熱を見た思いでした。
さいごに
まとまりのない文章になりましたが、たまなぎが2回目鑑賞で気づいたことをざっと並べました。
この映画はおそらく、ベルばらを初めて見る方はもちろん、原作履修組でも複数回見るごとに新たな発見があり、味わいが増す映画だと思います。
初見でよくわからなかった方も、ぜひ、2度、3度と足を運んで見て下さい!
きっと新たな発見があるはずです。
最後までお読み下さり、ありがとうございました!