はじめに
皆さん今日は、珠下なぎです。
今日も来て下さって、ありがとうございます!
さてさて、一度『神眠る地をオニはゆく』の記事を挟みましたが、今回はその前の記事の続き……というかおまけです。
2回にわたってご紹介した、『神眠る地をオニはゆく』の新キャラ・田中長者の一族、田中氏。
瑠璃子姫の父・藤原虎麿と同時代の田中氏の当主との物語が、昔話として太宰府に伝えられているお話は既にご紹介しました。
なんと、このお話・あの名作アニメ『まんが日本むかしばなし』でも取り上げられていました。
しかもこのお話、現在はYouTubeで公開されており、どなたでも見ることができます。
それでは、このお話をざっとご紹介しましょう。
1.田中長者と虎丸長者
表紙はこんな感じ。今回は田中長者が主人公ですので、虎麿の名前は出ていません。
「むかしむかし、太宰府の通古賀というところに、田中長者というそれはそれは金持ちがおったそうな」
から始まります。しっかり地名まで紹介されていますね。
これが田中長者。やさしそうなおじいちゃんに描かれています。
後ろの蔵をご覧下さい。「八百壱」と書いているのがおわかりでしょうか。蔵に番号をつけなければならないほどたくさんの蔵を持ち、それに入れるだけの財産を持っていたことが示唆されます。
この後、「85番の」台所へ戻れなくなった召使いを案内してやる場面が続きます。
田中長者はいばらず、誰にでも優しい人格者として描かれています。
さてさて、一方、こちらが虎丸長者。左のひげ面の男性です。
「この寺はわしが建てた寺じゃ」と自慢しています。むっ、何か感じ悪い!
寺の名前にご注目下さい。
『遠の朝廷にオニが舞う』にも、『神眠る地をオニはゆく』にも、何度も登場する武蔵寺。ここが見どころ!
このことから、虎丸長者=藤原虎麿であることがはっきり示されていますね。
ところがこの虎丸長者、物語の中ではいばりんぼで見栄っ張りな人物として描かれています。
2.千本の笠と田中長者
虎丸長者は田中長者をライバル視しています。太宰府の寺に詣でた際に雨が降ったため、虎丸長者は田中長者に笠を借りることを思いつきます。家来の分と合わせて千人分=千本。いくら物持ちの田中長者でも、これだけ頼めば中にはボロボロ笠も混じっているだろうと意地悪な笑みを浮かべますが、全て真新しいものでした。
虎丸長者は悔しがります。
この笠を借りる話は、「王城神社縁起」に題材をとったものですね。
3.虎丸長者の仕返しとその失敗
悔しくなった虎丸長者は、大飯ぐらいを千人集め、昼時に笠を返しに行かせます。ところが田中長者はあわてもせず、「ちょうど御飯を炊き過ぎたので」と食べきれないほどの御飯でもてなします。おまけに……
余ったご飯を特大のおにぎりにして、虎丸長者の家来たちに3つずつ持たせるのです。さすがの虎丸長者もびっくりして、二度と対抗しようなどという気を起こさなかった。というお話です。
ユーモラスで面白いお話に仕上がっていますね。
たまなぎとしては、元の「王城神社縁起」の「片目の男に笠一つずつ持たせて返した」方が、何かもっと面白いお話ができそうな気がするのですが、それはまたいつか機会があれば。
田中長者のお話はこちらで見られます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!