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チェリまほ原作12巻感想(ネタバレなし)

皆さん今日は、珠下(たまもと)なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

 

さて、歴史記事は筥崎宮シリーズが始まったばかりですが、今回は割りこみですみません!

たまなぎのイチオシ作品『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(通称チェリまほ)』の原作12巻が発売されました!

ので、今回は感想記事を書きたいと思います(歴史記事どころじゃない!←コラ)

ひょっとしたらプレチェリ家の方もいらっしゃるかもしれませんので、今回はネタバレなしでいきます。ネタバレあり感想は後日に。

 

「プレチェリ家」?

はい、たまなぎがたった今、勝手に作った言葉です。今後チェリまほにハマる予定の方のことです。ドラマTver配信開始後、Twitterでチェリまほにハマりかけの方を数多く見てきましたので、勝手に命名させて頂きました(笑)。

 

1.メインカップル、順調な成長

11巻で予告されたとおり、今回はお仕事編です。

社運をかけたフェスの責任者に抜擢された黒沢さん。さすが仕事のできる黒沢さん、長時間勤務もいとわず、次々に仕事をこなしていきます。ところが、思いがけないトラブルも発生して……?

一方、安達くんは、弱みを見せずに頑張る黒沢さんを見て、気が気ではないようです。(ネタバレなし感想って難しい)

私はドラマから入ったのでつい忘れそうになっていましたが、原作の時間軸では「顔だけが取り柄のくせに」事件から、まだ2年とたっていないのですよね。ドラマでは入社直後の話に置き換えれれているので、ずいぶん昔のことになっていますが。

安達くんに救われたとはいえ、あの事件が今なお黒沢さんの心に傷を残しているだろうことが感じられて、切なくなりました。

 

そして、今回全体を通して感じたのは、カップルになったことによる、二人の変化。

多忙を極める黒沢さんを、懸命に支えようとする安達くんは、黒沢さんからの一方的な(しかもヤバい妄想付きの!)好意にオタオタしていた1巻の安達くんとはとても同一人物には見えないほど。

黒沢さんも、1巻の頃に比べ、ずいぶんやわらかく、人間らしくなってきています。

それは、安達くんが誰よりも身近で黒沢さんのことを見ていてくれ、パートナーとしての距離だからこそ見えることを伝えてくれるからではないでしょうか。それによって黒沢さん自身も改めて自分の一面に気づかされ、そこからまた可能性が広がっていったり、自信が深まったりする。

この二人は、同性異性関係なく、「パートナーとして」とても良い関係を築いています。

 

チェリまほは、恋のライバルが登場したり、大きな事件が起こったりすることがないので、「単調」「面白くない」などの感想をたまに見かけるのですが、

この二人の恋愛の過程・パートナーのしての関係の築き方自体がとても素晴らしく、作品の大きな魅力になっているのだと思います。

 

 

2.サブカップルについて

一方、サブカップルの柘植先生と湊くん。忙しい合間を縫ってデートを重ね、距離を縮めているようです。

あまりネタバレになってはいけないので、とりあえず「カップルになったつげみなは可愛さ10割増し!」と百回言っておきます

さて、以前、こちらの記事でも書きましたが、柘植先生は「脱魔法」をめぐって、選択を迫られる立場にあります。↓

チェリまほ,30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい,チェリまほTHE MOVIE,赤楚衛二,町田啓太 (ltap.website)

そして……。

柘植先生は、そして湊くんは、どういった答えを出すのでしょうか。

しかし、不器用ながらも誠実な柘植先生と、柘植先生のことが大好きで情熱的な湊くんのこと。

紆余曲折はあるでしょうか、きっと乗り越えて強いきずなを結んでくれることと期待しています。

 

3.『チェリまほ』は「あらまほしい世界」の具現

まだまだ関係を深めている途上のサブカップルに比べ、メインカップルの黒沢さんと安達くんは、順調に関係を深化させています。

 

(ここから先は11巻までのうっすらネタバレがあります。プレチェリ家の皆さんはUターンをお願いします!)

 

 

しかし、会社の人たちは、式に来ていたメンバー(朝比奈さん、藤崎さん、六角君、長崎支店の楠本さん)以外に、二人がパートナーであることを知っている人がどれほどいるのかは、はっきりと描かれていません。

豊川は上場企業であり、社員の人数もかなり多く、黒沢さんは営業という職種柄、仕事上で関わらなければならない人の数も膨大な人数にのぼると思われます。

その人たち全てが、同性カップルに対して理解があるとは限りません。

9巻で登場した矢車文具の社長さんは、黒沢さんが、「横文字を多用し」「色男」であるということだけでぞんざいな態度を取ります。

この社長さんが同性カップルに差別的な言動をとるとは限りませんが、このように、「自分の好き嫌いを仕事に反映させる」相手にも向き合わなければならないのが営業の世界です。(本当はそんなことあっちゃいけないんですが(怒))

 

もし、黒沢さんに同性パートナーがいることが仕事関係者の知るところとなったら?

もし、大口の取引先に同性愛者が嫌いな幹部がいて、それを理由に理不尽な要求をしてきたり、取引を断ってきたりしたら?

黒沢さんの仕事に支障が出たり、好成績にもかかわらず役職への道が閉ざされてしまう、というようなことも起こりえるのです。

 

先日成立した「LGBT理解増進法案」には、性的少数者に対して「不当な差別はあってはならない」という文言が入れられましたが、逆に言えば「正当な差別はしてもよい」とお墨付きが与えられたも同然の結果となりました(そもそも差別そのものが不当なんですが)。

例えば、「同性愛者が営業の幹部にいると社のイメージを悪くするから、黒沢さんを役職にはつけない」と豊川の上層部が判断したとしても、それは「正当な理由があるから差別ではない」と主張される恐れもあるのです

 

現実は決して、『チェリまほ』の世界のように優しくはない。

けれどだからこそこの物語は、「あらまほしい世界の具現」として、多くの人の心をとらえるのでしょう。

BLはかつて、「女性にとってのファンタジー」と言われましたが、今は、「多様性を求める人にとってのファンタジー」と言えるかもしれません。

 

ファンタジーがファンタジーで終わらない、いつか『チェリまほ』に描かれた世界のような、優しい世界が現実になることを心から願っています。

 

ちょっと固い話になってしまいましたね。すみません。次回はネタバレありで、たまなぎが萌え転がったお話を書きます。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

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