皆さん今日は、珠下なぎです。
今日も来て下さって、ありがとうございます!
チェリまほ映画の感想もひと段落つきましたので、今回からは4月に発売されたチェリまほ原作10巻の感想に移りたいと思います。
ネタバレというほどではありませんが、少し内容に触れているところはあります。
また、少し重たい話もあります。アメブロの過去記事とも一部重複があります。
以上ご理解の上、先にお進み下さいませ。
互いの家族に相手を紹介し、婚約者となった安達くんと黒沢さん。
長崎から帰ってきた安達くんは黒沢さんのマンションで黒沢さんと一緒に暮らし始めますが、二人の新たな生活のために新しい家を探し始めます。
また、黒沢さんの「結婚式を挙げたい」という希望に沿い、結婚式の準備を進めることに。
ところがその過程で、二人は様々な現実に向き合わざるを得なくなるのです。
まず一つ目。藤崎さんが二人の関係を知っていて、何かと力になってくれる実写版と違い、10巻冒頭の時点では、会社には二人の関係を知っている人はいません(長崎支店の楠本さんは気付いたようですが、態度にも言葉にも出しません)。会社へのカミングアウトのハードルの高さを、改めて思い知らされることになります。
二つ目。結婚式を挙げるにしろ、「LGBT」で検索をかけると、急に候補式場は減ります。また、結婚式に高額のお金がかかることを知らなかった安達くんがびっくりする場面も。
そして、今回二人が一番難渋したのは部屋探しです。
詳しいことはネタバレになるので控えますが、10巻の中で一番、「現実の壁」を感じるエピソードとなっていました。
同性カップルだと「賃貸を借りにくい」というお話はたまに聞きます。
実際のところはどうなのだろう、とググってみました。
こちらは、賃貸を探した時の苦労を、女性の同性カップルの方が綴った記事。
この女性は、不動産会社に同性カップルだと伝えず、最初から友だち同士だと説明したと書かれています。
それはこういう理由だそうです。
「不動産会社のホームページを見ると、『2人の関係を正直に話してもらったほうが、あとあとトラブルがない』などの記載が見受けられます。しかし、2人の関係を話したとして、差別を受けるなど、嫌な思いをしない可能性は否定できません。また、同性愛者だという情報が口外されない保証もないのです。異性愛者は、自分たちが思っている以上に、LGBTを差別する表現を使っています。悪意はなくても、LGBT当事者にとって傷つく言葉もあるでしょう。だから、私たちは、同性カップルだと言わない決断をしました」
最後の2文は、身につまされます。
このブログには、同性カップルであるために、異性カップルであれば何の障害もなく進むことにさまざまな不便を感じることの不条理さが切々と綴られていますので、興味のある方はぜひご一読ください。
また、下は、LGBTの当事者の方が運営する、LGBTフレンドリーを掲げる不動産会社のHP。
同性カップルが部屋探しをする時に何が障害になりやすいか、どんな対策をすれば負担を減らせるか、などが具体的に書かれています。
https://iris-lgbt.com/blog/2020/08/19/same_gender_rent/
保証人の問題や、会社から家賃補助を受けている場合は会社にどう説明するかなどが障害となりやすいそうです。
また、このHPにはこのように書かれていました。
「もし自分たちの住んでいる自治体が、パートナーシップ制度に対応しているのであれば、使っておいた方が良いかもしれません。
パートナーシップ制度を使えば物件探しが有利になる面もありますが、そもそも既にお互いが同じ自治体に住んでいる、または引っ越しが決まった状態でないと宣誓ができないこともあるため、物件探し時には用意しづらいというジレンマがあります」
なるほど。パートナーシップ制度は自治体の中でしか効力を発揮しないというのは以前アメブロの記事でも指摘しましたが、こういったジレンマもあるのですね。
また、この不動産屋さんは「パートナーシップ制度は利用した方がよい」と書かれていますが、パートナーシップ制度を使っていることを物件探しの時に不動産屋さんに伝えると、それ自体が同性カップルであることのカミングアウトにもなるので、一概に利用した方がいいとはいえない面もあるのではないでしょうか?
同性愛者であることをカミングアウトするのは、異性愛者が想像するよりもずっとハードルの高いことだと思います。
異性のカップルと同じように同性婚が認められれば、法的にカップルとなれるし、このあたりの問題も、かなり解決されると思うのですが……。
安達くんと黒沢さんの新居探し、どうぞうまくいきますように。
そして2人も、今新居探しをされている同性カップルの皆さんも、辛い思いをされない世の中が早くくることを願っています。
そして、シリアスなシーンの多い10巻ですが、現実の壁に阻まれ、苦しむ二人に、思いがけない人物が救いの手を差し伸べます。
このシーンは10巻の中で私が一番好きなシーン。けれど盛大なネタバレを含むので、次回「ネタバレあり感想」の記事で詳しく書こうと思います。
色々シリアスなシーンはありますが、幸福度もとても高い巻となっています。
実写版のみのファンの方で、原作を買おうかどうか迷っている方は、是非お読みになることをお勧めします。(実質無料むしろ黒字!です(笑))
最後まで読んで下さって、ありがとうございました!