『遠の朝廷にオニが舞う』 作品解説&エピソード

『遠の朝廷にオニが舞う』の世界①「遠(とお)の朝廷(みかど)」について(by 珠下なぎ)

遂にLTA出版事業部初の電子書籍、『遠の朝廷にオニが舞う』が出版されました!

しかしこの作品、古代のしかも九州太宰府が舞台ということや、作品のキーワードである「遠の朝廷」「オニ」など、馴染みが薄いという読者の方も少なくないと思います。

そこで当ブログでは、今回から数回に渡って、著者の珠下(たまもと)なぎさんの方から作品世界についての解説やエピソードを語っていただこうと思います。

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皆さん今日は、珠下なぎです。

 

この度は、「遠(とお)の朝廷(みかど)にオニが舞う」をお手に取ってくださってありがとうございます!

 

これからこのサイトで作品の背景やちょっとした豆知識をご紹介していきたいと思います。

 

初回の今日は、遠の朝廷(みかど)について。

 

遠の朝廷とは、万葉集にも出てくる古い言葉で、都から遠く離れた地方の政庁を指します。

万葉集では特に太宰府を指して使われています。

 

日本の中で朝鮮半島に最も近い九州北部は、古代より、交通の要衝でした。

また、絶えず変わる大陸や朝鮮半島の勢力図に迅速に対応するための、軍事的拠点としても大変重要な場所だったわけです。

 

7世紀後半、大和朝廷は今の太宰府市に大宰府政庁を設置し、軍事と防衛の拠点としました。

 

今は国の特別史跡として公園の形で整備され、市民の憩いの場となっています。

引用(写真):「太宰府観光協会」https://www.dazaifu.org/map/tanbo/tourismmap/7.html

 

663年、白村江で新羅と唐の連合軍に朝廷と百済の連合軍が破れると、大宰府は大陸への防衛拠点としての重要性を増し、大宰府の北側には長大な水城が築かれました。作品冒頭で出てくる水城は、こちらです。

 

戦いが終わり、唐・新羅との国交が正常化するにつれ、大宰府は軍事拠点としてよりも、外交や貿易の拠点としての役割が強くなってきます。

 

戦争の時代から平和の時代へ。

軍事から外交へ。

 

「遠の朝廷(みかど)にオニが舞う」は、そんな歴史の転換点にふさわしく、新羅からの公使を大宰府に迎える場面から始まります。

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

 

 

 

 

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