皆さん今日は、珠下なぎです。
今日も来て下さって、ありがとうございます!
さて本日は前回の続き。
原作10巻の盛大なネタバレがあります。今から原作をお読みになる予定のある方は、先の閲覧をお控え下さいませ。
今回は、前回の話の続きで、私が一番好きなシーンについてお話しようと思います。
家探しがうまくいかず、落ち込む二人に思わぬ救世主が。それはなんと、3巻冒頭以来一度も登場しておらず、まだ名前も明らかでなかったあの方。
🌹黒沢さんのお姉さま🌹です!
ちなみに今回明らかになったところによると、名前は茉莉さん。お仕事は化粧品のバイヤーだそうです。何か納得。
安達くんの長崎転勤が終了し、とりあえず黒沢さんのマンションで同棲を始めた二人ですが、新居探しはなかなかうまくいきません。
物件を探して申し込むも、「オーナーの審査が通らなく」て断られること3回目。
「選択肢がないわけじゃない ただ選べないだけで」と安達くんの独白。
不動産屋さんからの電話を受けて落ち込みながら黒沢さんのマンションに帰った安達くんの目に飛び込んできたのは、女物の靴。
固まる安達くんの前に現れたのは、両手を広げた美女。
「お帰りなさい清君、結婚おめでとう! これからはお姉ちゃんって呼んでいいのよ」
安達くんの頭をぎゅーと抱きしめます(笑)。べりっと引きはがす黒沢さん(笑)。
結婚の準備が滞っていることについて、「情けない」と容赦なく弟を一刀両断する茉莉さん。
安達くんは、精いっぱい反撃を試みます。
「黒沢は情けなくなんかないです」
「結婚だけがすべてじゃないって最近いうし 思い合っていれば形なんて……」と作り笑顔を浮かべる安達くんに、茉莉さんは強烈なセリフをお見舞いします。
「確かに恋愛も結婚もしてもしなくても自由だけど。でも、したくてもできないアンタたちが、そんなこと言って諦める理由がどこにあるの」
「なんで愛し合ってる子達が自由に結婚できないのかしら」
「私達、誰とどう生きるかまで他人にあーだこーだジャッジされるために生まれてきたの?」
「違うでしょ!幸せになるために生まれてきたんでしょ!」
目を見開いて大声を出す茉莉さん。このセリフは二人の胸に深く突き刺さります。
「仕方ないとあきらめながらも誰かに諦めなくてもいいって 間違っていないって言って欲しかった」と安達くんのモノローグ。
茉莉さんが帰った後、「本当は俺、安達のこと愛してるって、世界中に自慢したいんだ」と漏らす黒沢さんの表情には、同性カップルゆえに、異性カップルでは生じない様々な障害に苦しめられる辛さが滲んでいます。
この場面には、同性カップルとそれを取り巻く社会の、様々な問題が詰め込まれています。
「想い合っていればいれば形なんて……」という言葉は、今回は同性カップルの当事者である安達くんから発せられていますが、同性婚を認めない立場からもよく発せられる言葉なのです。
「同棲だってできるし、今はパートナーシップ制度もある。同性カップルだって異性カップルだって、結婚せずに同棲のままでいいっていう人だっているよね? なんで結婚という形にこだわるの?」
こういう主張を耳にした人は多いでしょうし、一見もっともらしいと思ってしまう人もいるのではないでしょうか。
けれど、
「結婚という形にこだわる」ことが問題なのではないのです。
「結婚という形を選べない」ということが問題。
茉莉さんの言うように、結婚という形をとるか同棲のまま、事実婚など、一緒にいる形は様々です。
けれど現在のところ、法律的な「結婚」は同性カップルには選ぶことができない。
法的に認められた関係でないため、家族や周囲へのカミングアウトにも気を遣わなければならない。
映画でも描かれていたように、どちらかが事故に遭ったり急病になったりしたときにも、すぐに連絡を取ることができない。
自分たちの意志で、結婚以外の選択肢を選んだ異性カップルと、結婚という選択肢を選べない同性カップルを同列に論じてはいけないと思うのです。
弟カップルを思って、本気で怒ってくれる茉莉さんはとてもカッコよかった。
茉莉さん、いずれ実写でも登場してほしいですね。
茉莉さんはC Dドラマにも出演されていましたが、声優さんがとても上手で、茉莉さんのイメージにぴったりでした。
この10巻のシーンもいずれ演じてくれるかと思ったらドキドキしますね。
長い記事を最後まで読んで下さって、ありがとうございました!