はじめに
皆さん今日は、たまなぎこと珠下(たまもと)なぎです。
初めての方は、初めまして。心療内科医でゆるく作家活動をしております、珠下なぎと申します。
ブログご訪問下さり、ありがとうございます!
最近ベルばら記事ばかりになっていますが、今日もまたベルばら記事です(笑)。
歴史記事もまた書きますが、当面はベルばらネタが多すぎて、しばらく続くと思います。
さて、マーガレットコミックス『ベルサイユのばら』全14巻。重版がかかり、Amazonでも買えるようになりました。たまなぎは10巻までは所持しているので、11~14巻のエピソード編をポチリ。2週間後くらいには届くそうです! 楽しみ!
今回もネタバレしまくりのエピソード編感想続き。ネタバレが嫌な方や「そもそもエピソード編って何?」という方はは、こちらの記事をご覧下さい。
今回は、コミックス11巻収録分2番目のエピソード、ジェローデル編の感想です。手元には図書館から借りたエピソード編を置いています。
ジェローデの生い立ちと当時の貴族の恋愛事情
このお話は、ジェローデルの幼少期から始まります。
近衛隊時代のオスカルの副官であり、後に求婚者となるジェローデル。
容姿端麗、家柄も良く、貴族としての洗練された所作を身に着けたジェローデル。さぞかし子どもの頃から高貴な人々に囲まれて最高の教育を受けでいたんでしょうね……と思いきや、この方、実は10歳まで母の手を離れ、田舎の里親の元に預けられていたそう。
というのも、母親には年若い恋人がおり、ジェローデルは母親にとって邪魔な存在だったようです。
ここで当時の貴族の恋愛事情を。当時の貴族たちの間では、愛人文化が非常に盛んでした。池田理代子先生の『「ベルサイユのばら」で読み解くフランス革命』にはこう書かれています。
実は当時は、夫婦が仲良くすると珍しがられる時代でした。恋愛に関しては、女性は結婚をして初めて、恋愛をする権利を持つことができました。結婚するまでは大事な娘なので、親の許可なしに恋人を持つことは許されなかったのです。そこで夫なんかに恋してしまうと、むしろ「変わった人ね」と言われたそうです。趣味が悪いとか、洗練されていないとか。いかに素敵な恋人を持って、素敵なラブレターをかわすかというのが、その当時の文化としてあったのです。(池田理代子著『「ベルサイユのばら」で読み解くフランス革命』,KKベストセラーズ,2016)
オスカルの姪、ル・ルーが活躍する、『ベルサイユのばら 外伝』の中の、「ジャルジェ将軍の息子あらわる⁉」でも、他に愛人を持たずに互いを愛しているジャルジェ夫妻が、周りの貴婦人たちからけちょんけちょんに言われるシーンがありましたね。「結婚して何十年もたつのにご主人を愛してらっしゃるなんて」「旦那様も粋と浮気で名高いフランス男性の風上にもおけない堅物で」「まるで平民の夫婦のよう」などと、散々な言われようでした。
そんなジャルジェ家とは対照的に、ジェローデル家は大変「貴族らしい」家であったようです。
ところが、ベルばら本編では、ジェローデルは「女嫌い」として有名になるほど女性を寄せ付けず、ひたすらオスカルを想い続けていい年まで独身を通します。母親とは対照的ですね。
父とは別の男性に夢中になっていた母を見て、自分はああはなるまい、愛する女性と幸せな家庭を築きたい、と思っていたのかもしれません。
ジェローデルのファーストネーム
ところで、ジェローデルジェローデル言ってますが、ジェローデルは苗字。オスカル様でいえば、ジャルジェと呼んでいるようなものなんですよね。
ジェローデルのファーストネームはフローリアン。たまなぎはこの名前を劇場版で初めて知ったのですが……⁉ うん⁉ ちょっとここでたまなぎはひっかかりました。ジェローデルの名前って、フローリアンだったっけ? 原作にはファーストネームはなかったけど……
そうそうこれ、旧アニメでは、ジェローデルに別のファーストネーム(ヴィクトル・クレマン)がオリジナルでつけられていたんでした。一度しか出てきませんでしたが。
これ、ド・ゲメネ公爵がピエール坊やを銃殺した後の、決闘騒ぎの時に出てきます。原作ではアントワネットが「決闘は許しません!」と断言、オスカルに謹慎処分を申し付けてその場を収めるのですが、旧アニメ版ではこれは本当に決闘に発展してしまいます。その上卑怯にもド・ゲメネ公爵はオルレアン公と共謀してオスカルを嵌めようとします。聡明なオスカルはそれに気付いて危機を回避するのですが、その時の決闘の立会人になったのがオルレアン公とジェローデル。その時にジェローデルのフルネームとして「ヴィクトル・クレマン・ド・ジェローデル」が読み上げられたのでした。
そのイメージが強かったからなんですね。でもここでしっかり修正しましたよ。ジェローデルのファーストネームはフローリアン。
オスカルとの出会い
さて、ジェローデル家に引き取られたばかりのフローリアンに、ジャルジェ家のオスカルのうわさが。オーストリアから嫁いでくる王太子妃の護衛にオスカルが選ばれそうだとの話を小耳にはさんだフローリアンは穏やかではいられない様子。ちょうどお茶会に来ていたオスカルと対面したのですが……。
開口一番、「ちっこいな~」。と容赦のないオスカル様。その後、オスカルが女子だと聞いて二度びっくり。さらに、オスカルが士官学校に入るとのうわさを聞いて、フローリアンは自分も士官学校に入りたいと父に申し出ますが、笑い飛ばされてしまいます。「あんなところへ入らずとも、おまえは年が来れば近衛隊にしかるべき地位を与えられる身だ」「おまえが望むならオスカルなどより高い地位を与えてやろう」と。うーむ、ずいぶん甘いお父さんですね。それでもジェローデルが立派に育ったのは、常に自分を磨き続けるオスカルを間近に見ていたからかもしれません。
そこでフローリアンはなんとオスカルに勝負を申し込むのです。「女であるがゆえに未来の王太子妃付きの近衛士官になれるというのではあなたも不本意だろう」。
ところが、オスカルはジェローデルの太刀筋から、ジェローデルがイタリア人の師の教えを受けていたことまで見抜いてしまい、ジェローデルは完敗。ジェローデルはただただ圧倒されます。
少し前後しますが、この前にジャルジェ将軍がオスカルを士官学校に入れるエピソードがあります。「将来おまえの部下となるだろう士官候補生たちが、何を考えどのように暮らしているか、近衛隊に入隊する前に直に触れ合って学んでくるがよい」と。さすが将軍。失礼ですが、ジェローデルの父上とは心構えが違います。アンドレが正式にオスカルの護衛となったのも、この時のようです。
そして近衛隊に入隊後、一緒に働くことになった二人。ジェローデルが「今はもう、わたしの方が背が高くなりましたよ」と心の中でつぶやくところで終わっています。ここではまだ、オスカルへの恋心については、かすかに匂わせる程度で終わっています。
ジェローデルは男色だった?
ジェローデルがオスカルを好きになったのは、いつからでしょうか。原作には、「はじめて近衛隊で一緒に仕事をした時からずっと憧れてまいりました」というセリフがあります。このセリフ単体で読むと、近衛隊入隊時が初対面で、オスカルの美貌に一目ぼれしたようなニュアンスですが、エピソード編を読むとそうではなかったことが分かります。
もともと知り合いではあって、最初は反発していたが、一緒に働くようになってその人柄にどんどん惹かれていった、ということなのでしょうが……最近驚くような情報がX(旧Twitter)で出回っていました。
ジェローデルは男色だった。
ええ?
相互さんの情報によると、『ベルサイユのばら』50周年記念展に展示されていたパネルに、理代子先生自身のお言葉としてしっかり書いてあったとか。ということは、「『ベルサイユのばら』50周年アニバーサリーブック」のどこかに書いてないか?と探してみましたが、これは見つかりませんでした(泣)。
ジェローデルはもともと男性が好きで、オスカルに惹かれたのがオスカルが男装だったからと。好きになった「女性」はオスカルただ一人だったが、他にも男性の愛人はいたらしいとかなんとか……。
しかし、男性が好きでオスカルを好きになったとしたら、いくら男装でも結婚したら中身は女性なわけですから、「やっぱりダメだった」となりませんかね。それとも、両性とも恋愛対象だが、どちらかというと男性の方が好き、ということなんでしょうか……。うーむ。
ベルばらファンの某有名漫画家さんが、ジェローデルがオスカルとアンドレ両方とも……という発言をされて顰蹙を買われていましたが、それはこの設定を鑑みてのことで、あながち根拠のないことではなかったのかもしれません。
ジェローデルについては、さらに12巻にもエピソードがありますので、そこでも引き続き考察したいと思います。
まとめ
・『ベルサイユのばら』マーガレットコミックス11巻のエピソード編②『ジェローデル編』の感想
・このエピソードでは、ジェローデルの生い立ちと、オスカル11歳、ジェローデル10歳の時のエピソードが描かれる。
・ジェローデルは実は男色だった(公式設定)という情報もあり、まだまだ考察の余地の沢山ある人物である。
ベルばらについては他にもいくつか記事を書いています。気になった方はご覧下さい!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!