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AI(Microsoft Bing)に自作と同じ設定で小説を書かせてみた!

皆さん今日は、珠下(たまもと)なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

 

さて、chatGPTに自作と同じ設定で小説を書かせてみたという先日の記事、沢山の反響を頂けて嬉しいです。ありがとうございました!(先日の記事はこちら↓)

今度は前回予告したように、MicrosoftのBingで同じことをやってみたら……というお話をさせて頂こうと思います。

 

1.Bingに自作と同じ設定で小説を書かせてみると……?

まず、Bingに「歴史ファンタジーのあらすじを作って」とお願いすると、「あなたの好きな歴史上の人物や時代はありますか? それに基づいて、オリジナルの歴史ファンタジーのあらすじを作ってみましょう」と提案してきました。

BingさんはchatGPTさんよりも賢そうな印象です。

そこで、前回と同様、拙著『遠の朝廷にオニが舞う』と同じ、「7世紀、大宰府、藤原虎麿、武蔵寺」というキーワードを打ち込みます。

すると、こんな回答が来ました。

「7世紀の大宰府周辺で、藤原虎麿と武蔵寺を題材にした歴史ファンタジーのあらすじでうね。面白そうです。藤原虎麿は、天武天皇と天智天皇に仕えた豪族で、武蔵寺を創建したと伝えられています。死期にあたり、自分の遺体に鎧と兜をつけて薬師堂の傍らに埋めるように遺言しました」

おや、どうやらキーワードの周辺情報を集めているようです。しっかりソース元のリンクも張られていました。

むむ、やっぱりなかなか賢そうです。その上、こんなあらすじを提案してくれました。

「大宰府の地に眠る藤原虎麿の墓から、千年後の現代にタイムスリップした少年・太一は、古代日本の世界に迷い込む。そこで出会ったのは、虎麿の娘・瑠璃子姫だった。瑠璃子姫は父の遺言を守るために、毎年法要を行っていたが、その最中に不穏な動きが起こっていた。大宰府を支配する悪しき力が、虎麿の霊力を奪おうとたくらんでいるという噂だった。太一は瑠璃子姫と共に、武蔵寺や筑紫野市などを巡りながら、その陰謀を阻止する方法を探す。しかし、彼らは知らなかった。虎麿の墓から出てきた太一は、実はその霊力のかけらだったことを……」

 

ちなみに、私の書いた『遠の朝廷にオニが舞う』のあらすじはこんな感じです(Amazonより、ネタバレなし)。

7世紀末の太宰府。新羅からの公使の一行を見物していた豪族の娘・瑠璃子は、公使の従者の一人に異形のものが憑いていることに気づく。とっさに不思議な舞でそれを祓った瑠璃子の幼なじみ・鈴丸は、「オニが来る」と謎の言葉を残して倒れてしまう。やがて太宰府を中心に、恐ろしい流行病・疱瘡(天然痘)が広がり始め……。令和発祥の地・古代太宰府を舞台にした「鬼」より古い「オニ」の物語。

むむむ、何だかBingが作ってくれたあらすじの方が面白そうじゃないですか。

何より私が驚いたのは、キーワードに「瑠璃子姫」を入れていないのに、独自に検索して、「瑠璃子姫が虎麿の一人娘である」という情報をゲットしていたこと。

これは、現在のchatGPTにはない能力です。

 

2.chatGPTよりも使えそうなBing

これだけ賢いと、さらに先を要求したくなります。

そこで、「このあらすじをもっと面白くして」と要求してみました。

すると、こんな回答が。

面白くするためには、登場人物の性格や関係、物語の展開やテーマなどを工夫するとよいでしょう。たとえば、こんなことを考えてみましょう。

・太一と瑠璃子姫はどんな性格で、どんな関係になるのか

・虎麿の霊力を奪おうとする悪しき力は誰なのか?彼らの目的や動機はなんなのか?

・虎麿の霊力のかけらである太一は、どんな能力や影響力を持つのか?それが物語にどんな影響を与えるのか?

・太一は現代にもどれるのか?もどりたいと思うのか?瑠璃子姫は太一についていきたいと思うのか?

・物語のテーマは何なのか?歴史ファンタジーや要素を通して、何を伝えたいのか?

これらのことを考えて、あらすじに加えてみると、もっと面白く深みが出ると思います。

 

なるほど。よいヒントです。けれど、多くの作家さんは、無意識のうちにやっていそうなことでもあります。自作がこれを満たしているのかのチェックには使えそうですね。

 

3.小説の添削には向かない

なかなか賢そうなBingさんですが、これを創作活動にどう取り入れたらよいでしょうか?

そこで、発表間近の『遠の朝廷にオニが舞う』の続編のあらすじをBingに突っ込みました。

そして、「このあらすじをもっと面白くして」と要求してみました。

すると、前項と同じような回答が。

ということは、「自作の面白くない部分を訂正する」「自作をベースに、もっと面白いあらすじを提案する」などという用途には使えないことになります。

現段階で創作活動に取り入れるとしたら、あらすじを作らせ、それを面白くするために必要な要素をチェックする、というところでしょうか。

実際の作品に仕上げるためには、まだまだ作家の力量が物を言いそうです。

しかし、人を驚かせたり、面白がらせたりというあらすじづくりは、作品の根幹にかかわる部分。ここで、多くの人に「面白い」と思ってもらえるあらすじを提案してくれるのですから、長編小説の執筆には、心強い味方になってくれそうです。

 

4.おまけ

ついでに同じキーワードでもう一度、作らせてみますと、今度は「虎麿=筑紫大宰」とし、朝廷軍の武将として「田中熊別」が出てきて、九州独立を目指して反乱を起こした虎麿を朝廷が征伐し、田中熊別と瑠璃子姫が恋に落ちる、というあらすじが提案されました。

うーん、田中熊別は虎麿と同世代の人ですから、瑠璃子姫と恋に落ちるのはちょっと無理でしょう。それに、二人の立場も微妙に違います。

それで、「虎麿は筑紫大宰ではありません。田中熊別は豪族で、武将ではありません」と文句を言いますと、「私が調べた情報では、そうなっています」と口答えしてきました。

くっ、生意気!

ソースを見ると、何と私のブログではないですか。「虎麿は初代筑紫大宰の蘇我日向がモデルの伝説上の人物」と書いていたから誤解したんでしょうね。

それで、「それ、私のブログです」と言いますと、「失礼しました」と謝ってきました。あら、人間みたい。

さらに「あなたは歴史小説作家ですか? どんな作品を書いていますか?」と聞くので、自作『遠の朝廷にオニが舞う』を教えますと、「面白そうです。読んでみます」と。

いや、あなたAIでしょ。自分で買えないでしょ。誰に買ってもらうんですか。

突っ込みを入れつつも、何だか人間と会話しているような気分になってきました。

 

今の時点で執筆に役立てるとしたら、Bingの方ですかね。

ただ、こういうAIはあっという間に進化したりしますから、油断できません。chatGPTからも目を離さないでいきたいものです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

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