社会

米国での同性婚への視線の変化

皆さん今日は、珠下(たまもと)なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

 

日本では同性婚に対して首相が「社会が変わってしまう」と発言したり、首相秘書官がひどい差別発言をしたりするなど、同性婚への理解は非常に不十分です。ちなみに現在G7の中で同性婚カップルの権利が保障されていないのは日本だけです。

こういうと「日本と欧米は文化が違う」と言い出す人は必ずいるのですが、保守的なキリスト教の宗派では同性愛をタブーとしているところも少なくありません。(むしろ陰間茶屋や稚児文化、戦国武将間の衆道など、男色をタブーとしない文化は日本の方が強いとも言えます)

実際のところ、アメリカでも1996年までは同性婚を認めている州はありませんでした。

それがこの20年で大きく変化し、2022年12月13日には同性婚の権利を保障する法案が成立しました。この背景にはどんなものがあったのでしょうか。

2022年12月15日の朝日新聞の記事を時系列にまとめ直してご紹介します。

 

1.1996年の「結婚防衛法」=結婚は男女の関係に限る!

米議会は1996年、「結婚は男女の関係に限る」という内容の「結婚防衛法」を審議し、圧倒的多数で成立しました。この時は、上院議員だった現大統領のバイデン氏も賛成に回っています。

この頃はまだ同性婚を認めている州はありませんでした。

「防衛」という言葉からも分かるように、「同性婚を求める動きから伝統的な結婚を守ろう!」というような意図で成立したものです。

 

2.2004年、初めての同性婚容認(マサチューセッツ州)!

ところが、その後同性婚を求める動きは加速。2004年には初めてマサチューセッツ州で同性婚が容認されます。

しかし、政治的な反発も強く当時の世論調査では、同性婚に対しては反対が60%、賛成が31%と、まだまだ反対が多数だったようです。

 

3.2011年、世論調査の結果が逆転!

さらに、その後若い世代を中心に、同性婚への支持は急速に拡大、2011年には賛成派が反対派を上回ります。

2012年には副大統領だったバイデン氏が同性婚を支持する立場を明言。直後にオバマ大統領も支持を表明します。

 

4.2013年、「結婚防衛法」に違憲判決!

2013年には最高裁が「結婚防衛法」は違憲と判決。さらに2015年には「すべての州で同性婚を認めるべきである」と声明を出します。

 

5.同性婚を認めると家族制度が崩壊するのか?

この記事にはこのようにも書かれていました。

性的少数者の権利確立に取り組むNPO「ラムダ・リーガル」のジェニファー・パイザーさんは「同性婚に反対する人たちは、『家族制度の崩壊につながる』『子どもが危険にさらされる』と主張した。しかし、実際に同性婚が実現すると、その主張がいかに荒唐無稽かが示された」と指摘する。

また、ニュージーランドで同性婚を認める法案が成立した時、賛成票を投じたウィリアムソン元議員が、日本の政治家に向け、

「同性婚を認めて8年、社会は崩壊していません」と同様のメッセージを発しています。

「同性婚を認めて8年、社会は崩壊していません」ニュージーランド元議員が日本の政治家に問いかけること (buzzfeed.com)

 

こうしてみると、アメリカでは同性婚に対する視線は20年で大きく変化してきたことが分かります。

日本では、まだ1の段階ですね。道のりは長いといえますし、今後アメリカのように同性婚を認める方向に法改正が進む可能性は低いと言えます。

けれども、日本でも世論調査では同性婚に対する容認派が多数を占めます。

ここに一縷の望みがないとも言えません。

それに、「同性婚を認めるかどうか」は人権に関わる問題であり、多数派である人に関係ないから否定して良い、という性質のものではありません。

少数派の人権を否定する国では、いつ何時自分の人権が否定されることになるか分からないのです。

 

最後まで読んで下さって、ありがとうございます!

 

 

 

 

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