『遠の朝廷にオニが舞う』 作品解説&エピソード

『遠の朝廷にオニが舞う』の世界⑧産鉄民としての鬼その1(by 珠下なぎ)

皆さん今日は、珠下なぎです。

 

今日は古代のオニ=疫鬼から少し離れて、「鉄の民族」としての鬼のルーツについて解説したいと思います。

 

 

鬼が産鉄民を指すのではないか、ということは古くから言われていました。それにはいくつか根拠があります。

 

平安時代以降の鬼は、鉄バットにトゲトゲのついた「金棒」を持って描かれることが多いのですが、これも産鉄民の象徴であると言われています。

 

日本で最も有名な鬼の物語といえば桃太郎ですが、桃太郎の伝説のもとになったのは、吉備の国=今の岡山県に伝わっていた、温羅(うら)という鬼の伝説でした。

吉備の枕詞は「まがねふく」。吉備は、「真金=鉄」の鉄の産地であることで知られていました。

邪馬台国への行き方を示した「魏志倭人伝」」の一説に登場する投馬国を、吉備に比定する説もあり、古代から栄えていた地であることがうかがえます。

 

他にも平安時代の鬼、酒呑童子。酒呑童子が住んでいたという大江山にも豊かな鉱脈があります。

 

このように、鬼伝説のある場所は、鉄の産地と一致していることが多いのです。

 

次回は鉄の民族がいかに鬼という概念につながっていったか、についてお話ししたいと思います。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

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