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珠下なぎの歴史メモ⑳ハロウィンの歴史その8 ハロウィンと対になった祝日

皆さん今日は、珠下なぎです。
今日も来てくださって、ありがとうございます!

 

最近なかなか更新できずすみません。
ひと段落したらまた新しいシリーズを始めようと思っていますが、今回まではハロウィンネタで。

 

ハロウィンが、「夏の終わり、冬の始まり」の日である古代ケルトの祭、サムハイン祭を起源としているというのは以前のブログで取り上げました。

 

では、その逆に「冬の終わり、夏の始まり」の日ってあるのでしょうか?

調べてみましたら、ありました!

 

それは、南部アイルランドで今でも行われている「ラウンド」という祭祀。これはもともとは水の女神に祈りを捧げるお祭りで、古くは古代アイルランドの祝祭『ベルティネ』に結びつけられていました。

キリスト教が入って来てからは、マリア信仰と結びつき、聖母マリアに祈りを捧げる日にもなりました。

ハロウィンの起源であるサムハイン祭は、冬の始まりであり、夏の終わり。古代アイルランド人にとっての大晦日のようなものでしたが、ベルティネはそれと対極をなす、夏=光の季節の始まりだったのです。

ちょうどサムハイン祭の半年前、5月1日がその日なんです。

大変興味深いことに、この日はハロウィンと同じく、この世とあの世がつながり、妖精たちが姿を現すという伝承があるのです。

この日は、妖精たちに家畜を盗まれたり、悪さをされたりしないように、カウスリップ(キバナノクリンザクラ、サクラソウの一種)をドアに吊るしたり、家畜に聖なる井戸の水をふりまいたりする習慣があり、今でも残っています。

 

5月1日か古代ケルト人にとってとても大事な日であったことを示す、こんな昔話があります。

「ある年の5月1日の前夜、強い力を持ったドルイドが神の祭壇を作るためにリッシヒギンの地を訪れた。すると月明かりの元、7人の子どもたちが踊り、そのそばには両親がそれを誇らしげに見守っていた。その頃、5月1日前夜は、踊ったり歌ったりすることは許されていなかった。法を破った家族にドルイドは怒り、魔法の杖で彼らを石に変えてしまった。彼らはその後、5月1日前夜になると1年に一度だけ、一番鶏が鳴くまでのわずかな間だけ、また踊ることを許されることになった」

ドルイドというのは古代ケルトの司祭ですが、昔話の中では魔法使いとして恐れられていたことが分かりますね。

 

また、5月1日は、アイルランドの先住神であり、今のアイルランド人の直接の祖に当たるミレシア人に追われて海のかなたに姿を消したという、ダーナ神族が初めてアイルランドに現れた日としても知られているのです。

古代ケルト人が5月1日を大切にしているのは、先住の神への敬意でもあるのかもしれません。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

参考文献:高畑吉雄『アイルランド妖精物語』(戎光祥出版 )

 

 

 

 

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