皆さんこんにちは、珠下なぎです。
拙著、「遠の朝廷にオニが舞う」に関するエッセイ、3回目の今日からは、「鬼(オニ)」について、数回に分けて(ひょっとしたら10回以上になるかも?)語っていきたいと思います。
なぜ10回以上にもなるかも? というと、鬼の世界は、本当に広くて深く、語り始めると本1冊でも足りないほどだからです。
今は、「鬼滅の刃」の「鬼」がブームですが、皆さん、「鬼」というと、どんなものを思い浮かべますか?
やっぱり、角を生やし、裸の体に虎の皮のぱんつを履いた、こんな姿が一般的でしょうかね。
「桃太郎」などに出てくる昔話の鬼も、絵本などではこんな姿で描かれることが多いです。
(ちなみに写真は平安時代に生きていたとされる鬼、酒呑童子です)
引用画像:Wikipedia
けれど、このような姿の「鬼」が確立するのは、少なくとも平安時代以降と言われています。
なぜこのようなイメージが確立されたのでしょう?
そもそも漢字の「鬼」は古代中国では、「死者の魂」の意味でした。
「鬼」の漢字が日本に入ってきたのは、6世紀後半と考えられていますが、このころは、「鬼」の漢字は「モノ」と読まれ、その指し示す意味も、後世のものとは大きく異なりました(これについては後日詳述します)。
死者の魂が出入りする方角は鬼門、つまり北東(丑寅・うしとら)の方角ですね。
これらから、牛のような角を生やし、虎の皮のパンツを履いたイメージが出来上がり、それに地獄の獄卒(地獄で死者をイジメる鬼です)の姿が重なって、現在親しまれている外見になったと言われています。
けれど平安時代以前の「オニ」、特にこの物語の舞台になっている7世紀ごろは「オニ」というのはもっと別の意味をもっていて、しかもその指し示す意味はひとつのものに限られていませんでした。
「オニ」の系譜は多種多様なのです。
これについては、また次回以降、お話ししたいと思います。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました。