オリジナル小説 『大江山恋絵巻』 史跡巡り 歴史 作品解説&エピソード

『大江山恋絵巻』の舞台を訪ねる①初日~鳥辺野

はじめに

皆さん今日は、たまなぎこと珠下(たまもと)なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

たまなぎはこの夏、3泊4日で京都を訪ねました。もう5,6回目ではあると思うのですが、おおよそ20年ぶりの京都でした。今回は通常の観光の傍ら、『大江山恋絵巻』の舞台となった場所も訪ねました。

 

まずは清水寺へ

いざ、京都へ!

福岡在住のたまなぎ。まずは福岡空港から大阪伊丹空港へ。連休とあって、なかなか混んでいます。

京都駅に着いたのは正午を少し回った頃でした。

まずはホテルに荷物を預け、タクシーで清水寺へ。

20年前と違い、外国の方が増えていますね。着物姿の方もちらほら。手軽な着物レンタルのお店も目立ちます。

今回は清水寺そのものより、その近くにある(はずの)鳥辺野が目当て。

鳥辺野は、拙著『大江山恋絵巻』で、『人の巻』の主人公・茜が、初めて酒呑童子に出会った場所で、物語上重要な場所です。

ですが、まずは清水寺にお参りです。

 

相変わらず清水の舞台はすごい人です。

昔に比べて外国人観光客の方は増えていましたが、皆さんきちんと並んでおり、誘導もスムーズだったので、大して待つことはありませんでした。

清水の舞台からの眺め。緑が目に心地よいです。鳥辺野はどのへんかな~なんて考えています。

 

阿弖流為・母禮の碑

参拝を終えると、なんと阿弖流為・母禮の碑が!

調べてみると、もともとこの場所にあった千手観音像を祀り、清水寺としたのは坂上田村麻呂だそうです。阿弖流為らが、「北天の雄」と敬意をこめて建てられているのも好感が持てます。

 

いよいよ鳥辺野へ!

鳥辺野、というのは観光地化されているわけではありません。

清水寺近くの、鳥辺山山麓一帯は、かつては「鳥辺野」と呼ばれ、京都の三大葬送地の一つでした。

葬送地……といっても、平安時代、名もなき庶民は墓を作ることは許されておらず、また、火葬には薪代などの費用もかかることから、人は死ぬと郊外に運ばれて、朽ちたり鳥獣に食われるに任されたりしました。

風葬、鳥葬といえば聞こえは良いですが、いわば死体の捨て場であったわけです。

昨年の大河ドラマ『光る君へ』で、猿楽の一座、直秀たちの死体が捨てられたのもここでした。

平安時代以降も葬送の地とされ、親鸞聖人も葬られた「大谷本廟」がそれにあたるらしい、というのがネットで見た前知識。

大谷本廟も広いので、清水寺から近い場所で、外からでも見られたらいいなとグーグルマップに従って、歩きます。表示は徒歩4分。メインの参道を外れ、住宅街の裏道を抜けます。このあれだけにぎわっていた清水寺と違い、この辺りは人が全然いません。大丈夫かな……と恐る恐る進むと、ありました!

 

山麓に沿って作られた墓地が! ネットで見た写真と同じなので、ここで間違いないでしょう。

 

決め手となったのは、こちら。しっかりと「鳥邊山」の文字。

 

ここが昔からの葬送の地。

京の葬送の地は、化野・蓮台野と鳥辺野の三か所ですが、中でも鳥辺野は最も規模が大きかったそうです。

兼好法師は、『徒然草』の中で、「化野の露消ゆるときなく、鳥邊山の煙立ち去らでのみ、住み果つるならひならば、いかにもののあはれもなからん」と、人の命の儚さを綴っています。

 

拙著『大江山恋絵巻』の中で、『人の巻』の主人公茜は、幼い時に母を亡くし、鳥辺野の火葬に立ち会います。この世とあの世のあわいのこの地で、心細さに泣く茜に寄り添ってくれたのが、酒呑童子でした。(↓幼い茜が酒呑童子と出会う場面。『鬼の巻』挿絵より)

『大江山恋絵巻』の中でも、重要な場面です。

 

今は墓地となった鳥辺野は、不思議な場所でした。近世では墓地として、しっかり死者が供養されているせいか、悪い感じは全くしません。ただ、神社や他の宗教施設のように、すごく清浄な感じ、というのもありません。それでいて、空気が濃く……不思議なエネルギーを感じる場所でした。

どのお墓に、というわけではなくとも、手を合わせて帰ってきました。

 

清水寺参道で食べ歩きなど

さて、一番行きたかった場所はクリアしたので、食べ歩きをしながら参道を下って八坂神社へ向かいます。

ここで食べ歩きを楽しむために、お昼は抜いていました。

暑い中、きゅうりの一本漬けがおいしかった!

それから、食べきりサイズの生八つ橋、お団子、そして……なんて可愛いすみっコぐらしのミニカステラ!

 

清水寺の境内には分別式のごみ箱が設置されており、皆さん行儀よくごみを捨てられていました。

参道では、たまなぎはごみ袋を持参。他の方たちがどうしているかは分かりませんでしたが、少なくともお店の近くにごみが散らかっているようなことはありませんでした。

観光客が増えてゴミ問題が……と聞いていたのでびくびくしていましたが、意外と綺麗でびっくり。

 

八坂神社に参拝した後は、錦市場に向かいます。

 

ところが大変。冷たいタオルや凍らせたペットボトルなどで対策していたものの、一番体力のないたまなぎは熱中症寸前に。

慌てて茶寮「都路里」に避難。

晩御飯前だったのでパフェはあきらめ、抹茶フロートで体を冷やします。

 

さすが、抹茶の味が濃い! 氷まで、水ではなく抹茶を凍らせてあるので、溶けても味が薄くならないんです!素晴らしい。

 

復活した後は錦市場を覗き、老舗のハンバーグ店で晩御飯。

お箸を入れると肉汁があふれる、熱々のハンバーグ。お値段も手ごろでした。

 

ここで一日目は終了です。

 

さいごに

本当は清水寺周辺は、「六道の辻」の石碑や、小野篁が冥界とこの世を移動した井戸のある六道珍皇寺など、たまなぎ的には行きたいマニアックな場所が沢山あったのですが、今回は京都初心者の同行者を連れていたので諦めました((´;ω;`))。

今度はまた改めてゆっくり訪れてみたいですね。

でも、とりあえず一番行きたかった鳥辺野を見られて満足でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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