皆さんこんにちは、珠下なぎです。
今日も来て下さって、ありがとうございます!
今日からは数回に分けて、諏訪神社のお話をしたいと思います。
諏訪神社は、私にとって以前から気になる神社でした。
以前にこのブログでも数回にわけてご紹介した、「八栄の鈴」をはじめ、失われた古代製鉄の謎をその伝承に秘めた神社として、注目していたのです。
今回出版させて頂いた『遠の朝廷にオニが舞う』も、その前日譚(期日は未定ですが出版の予定)も、諏訪神社の伝承から多くの着想を得ております。
福岡在住の私はお参りしたことはないのですが、私は30年以上前に、大好きな作品の中でこの神社に出会っていたのです。
その作品は、小野不由美著『ゴーストハント』。
30年以上前、少女向けレーベル・ティーンズハートから「悪霊シリーズ」として出版され、2010年代に『ゴーストハント』としてリライトされ、さらに昨年からは文庫化されて、今なお読み継がれている名作。
当時から、少女小説とは思えないほどの迫力のあるホラーシーンと、ミステリーとしても高い完成度を誇り、「これはただの少女小説ではない!」と夢中になりました。(惜しむらくはイラストが怖すぎて、当時中学生だった私は家に置く勇気が出ず、購入しなかったこと。買っておけばよかった……)
このシリーズは全7巻あるのですが、その中でもシリーズ最恐と言われている5巻『鮮血の迷宮』。
ホラー好きの方にはおなじみの、ウィンチェスター館を思わせる、奇妙奇天烈な構造を持つ巨大な洋館。
持ち主の遺言どおりに封印された館で、人が消える事件が連続。
事件を解決するために集められた20人もの霊能者たちとその助手たちも、一人、二人と姿を消していき……終盤にあらわになるおぞましい事実。
このシリーズは私の一押しのホラーなんですが、それはとりあえず置いておきますね。
この作品の中で、こんな場面があります。
「諏訪大社っていうのは元来、得体のしれない神々を祀った場所なんです。(中略)古い神っていうのは、邪神だからね。しかもその神はいけにえを求める」
鉢合わせた霊能者にこんな突拍子もないことを言われて、あっけにとられる主人公たちに、主人公の仲間の、化粧の濃い巫女・綾子さんはこんなコメントをします。
「諏訪大社が少し変わった神社であることは確かよね。主神は建御名方神だけど、本来はミシャグシ神とかソソウ神、チカト神、モレヤ神なんかを祀ってあるの。(中略)それらの神様の由来がよく分からないのも事実なの(中略)。古くは生贄を要求してた」
建御名方神(たけみなかたのかみ)は以前もこのブログで紹介しましたし、大国主命の息子として、そこそこ有名な神様でしょう。
けれど、それ以外の神様は、普通の方にはちょっと耳慣れないのではないしょうか?
このブログの読者の方は、「モレヤ神」は覚えておられるかもしれませんね。
出雲を追われた建御名方神と戦って敗れ、その傘下に入った、諏訪地方の古い神様です。
建御名方神は、砂鉄を使った新しい製鉄を象徴する藤の枝、古くから製鉄を行ったモレヤ神は鉄輪を使って戦い、モレヤ神は敗れた。
古き鉄の民が新しき鉄の民に征服されたという歴史的事実を隠したエピソードだということは、以前このブログで紹介しました。
ところが、それ以外の神々は、ご存じない方がほとんどなのではないでしょうか?
その上、「建御名方神」というのも、実は色々不思議なところの多い神様なのです。
大国主命の息子ということになっていますが、実は大国主命の系譜には記されておらず、国譲り神話の段になって突如として現れた神様なのです。
次回からはこの神様から始め、諏訪神社の不思議な神様たちを、順番に紹介していきたいと思います。
全てご紹介し終わったら、天孫系の神々の視点から見た古事記や日本書紀を読んでいるだけでは分からない、もう一つの古代史が見えてくるかもしれません……!
最後まで読んで下さって、ありがとうございました!