チェリまほ

チェリまほキャラの魅力③黒沢優一編(後半)

はじめに

皆さん今日は、珠下(たまもと)なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

さて、今日は前回に引き続いて、『チェリまほ(30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい)』のキャラ、黒沢優一さんの魅力について語りたいと思います。

(前回の記事はこちら↓)

 

原作と実写、黒沢優一さんの描かれ方の違い

外面は完璧、けれど安達くんに恋をする姿は真逆に振り切ったヤバさが魅力の黒沢優一さん。

前回の記事の最後で、「ドラマの黒沢さんと漫画の黒沢さんは、同じ黒沢さんでも、まるで一つの彫像に別の場所から光を当てたように、描かれ方が違う」と書きました。

ざっくり言うと、ドラマの黒沢さんは「陰」の部分が強く、漫画の黒沢さんは「陽」の部分が強く描かれているように感じます。

 

それが顕著に表れているのは、次の二つの部分です。

 

自分の容姿についてのとらえ方の違い

一つは、自分の容姿について言及する場面。

ドラマ7話では、安達くんに告白した場面の後から、黒沢さんの回想が始まります。

「昔から気付いてた、自分は見た目で得してるって」の独白から始まり、黒沢さんは容姿に恵まれながらも、そのせいで中身を見てもらえない孤独に苦しんでいたことが語られます。

それは新卒の時に女性社長に受けたセクハラのエピソードにつながり、続いて安達君に恋をしたきっかけが語られます。

このようにエピソードをつなげることにより、ドラマ版ではルッキズムやセクハラの問題をより浮き立たせ、社会派ドラマとしての奥行きを与えているのです。

一方、その前提として黒沢さんの自分の容姿に対する、ネガティブな感情を持っていることが強調される描き方になっています。

それに対して原作では、黒沢さんは自分の容姿について、「女の子に不自由することもなかったし、色々得することも多かったように思う」と述べ、容姿について揶揄されたり陰口を叩かれたりするということに対するネガティブな感情は、女性社長への接待失敗後、落ち込む場面で語られた後、9巻で過去を振り返るシーンまではあまり語られませんでした(ドラマ放送時は9巻は未発売)。

 

安達くんへの恋心をそれぞれの黒沢さんはどうとらえたか

もう一つは、安達くんに対しての恋心を自覚した後、その恋心に対して、黒沢さんが抱いた感情。

ドラマ版でも漫画版でも、安達くんが藤崎さんのような清楚な女の子が好みであることを、黒沢さんは見抜いています。

ドラマ版の黒沢さんは、新卒後7年間も恋心を内に秘め、その思いを表に出すことはありませんでした。

「いつかはこの好きを終わらせなきゃ」と、この恋心が許されざるもの、叶うはずのないものだという、ネガティブな思いを根底に強く持っているのです。

 

それに反して、原作の黒沢さんは、「そもそも男同士だし、前途多難」(1巻)と悩みますが、基本的に恋に対してポジティブ。

「長い間安達を思って大変だったでしょう」と同情する柘植先生に、「会社で会うたびに、ネクタイや社食のルーチンを発見したり、寝ぐせの付き方の法則性を観測したりと、毎日楽しくて、辛くはなかったですね」とにっこり答える黒沢さん。(特装版7巻)。

結局1年の片思い後に、告白していますしね。

ドラマ3話のキス未遂シーンでも、「ごめんな、好きになって」というセリフは共通しているものの、「少しでも俺のこと、好きになってもらえるように」と遠慮がちなドラマ沢さんに比べ、「今夜は絶対に帰さねえからな」から始まり、翌日「時間をかけて確実に堕とす」と、迫る気満々の、原作沢さん。

 

実写版の描き方から垣間見える、原作へのリスペクト

微妙なニュアンスの違いですが、黒沢さんから受ける印象は原作とドラマでずいぶん違います。

光と影、太陽と月、昼と夜。

ドラマ黒沢さんの、どこか憂いを含んだ麗しい容姿のせいもあるかもしれません。

ただ、どちらも間違いなく黒沢さんであり、「同じ人物を別の角度からみたよう」な印象を与え、ドラマの黒沢さんが原作とかけ離れた印象にはなっていないのは、さすがだと思います。

たまなぎはここに、ドラマ制作者の方の原作への深いリスペクトを感じました。

 

黒沢さんの描き方の違いが、物語に与えた影響

この実写版とドラマ版との黒沢さんの描き方の違いは、物語にも影響を与えているように思います。

以前ドラマ11話で、なぜ二人が別れてしまったかについて延々と野暮な考察を致しました。

二人が別れてしまった根底には、原作沢さんと違い、ドラマ沢さんが、基本的に安達くんへの恋心に対してうしろめたさを持っていることもあったのかもしれません。

繰り返しになりますが、原作の黒沢さんなら、何があっても「別れる」なんて選択肢は選ばないどころか、選択肢に挙げることすらしないでしょうから。

ドラマ版11話についての、たまなぎの野暮な考察はこちら↓

 

原作乙女沢さんの魅力

さて、ちょっと話題を変えまして。

黒沢さんに愛された安達くんは、可愛さに加えて徐々に「カッコよさ」が出てきて、ますます魅力的になっていくさまが素敵だと、安達くんを考察した記事に書きました。

安達くんの魅力を考察した記事はこちら↓

 

一方、安達くんの愛を一身に受けた黒沢さんは、安達くんの前では素の部分――安達くんいわく、「意外と思ってることが表情に出てたり、狭量だったり、嫉妬深かったり」を出すようになります。

黒沢さんは人前ではカッコよく、男らしさを演じています(それは見た目だけで決めつけられたり、攻撃されたりすることから自分を守るためでもあるのですが)が、素はロマンチストで甘えん坊。はっきり言うと乙女。

そんな乙女沢さんは、とても可愛くて、一方、それを受け止める安達くんの包容力には目をみはるばかり。最初のころの、黒沢さんの愛におたおたしていた可愛い安達くんと、完璧な男前黒沢さんとは、まるで違った魅力を持つカップルに成長していくのです。これもチェリまほという作品の大きな魅力の一つになっています。

 

さいごに

気が付いたら延々と黒沢さんについて語ってしまいました。安達くん沼にはまってしまった私ですが、やっぱり黒沢さんも大好きです。

なぜ安達担なのに黒沢さんについて語った方が文字数が多いのか……安達くんについて語ろうとすると、愛が重すぎてたまなぎの語彙力が死ぬからです、多分。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

 

 

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