サブカル チェリまほ

『チェリまほTHEMOVIE』、ドラマ版と比較して思ったこと

皆さん今日は、珠下なぎです。今日も来て下さって、ありがとうございます!

 

さて、4月9日に公開され、大ヒットした『チェリまほTHEMOVIE』も、そろそろ終盤を迎えようとしているようです。

私の住む福岡も、2館を除いて5月12日に終了、Tジョイ博多さんが19日まで一週間延長して頑張って下さいました。

今はKinocimema天神さんという、比較的新しくておしゃれな映画館が、ファンの声に応えて平日よりと土日の昼間に復活上映して下さっています。(なんと、5/28・29の土日では、ツイート応援上映も再び! 今回は全国でもここだけらしいです!)

 

Twitterでも何回も通った!という方が(私が見たのでは最高54回、10回以上の方も沢山)おられた反面、「ドラマ版と違って戸惑った……」「がっかりした」という声もちらほらありました。

確かに好みの問題もありますが、ドラマ版と映画版では大きな違いがありました。

脚本家さんが交代し、映画版は時間も限られる。これらがかなり全体の雰囲気に影響を及ぼしていたと思います。

 

私はドラマ→原作→映画の順で見たので、原作を一番先に読んだ方からするとまた別の感想があるかもしれませんが、私なりに映画とドラマ版の違いについて考察したいと思います。

 

コミカルなドラマ版、シリアスな映画版

「30歳まで童貞だと、魔法使いになっちまうんだぞ?」の浦部さんから始まって、安達くんを思うあまり様子のおかしな黒沢さん、派手にずっこける安達くんなど、全体にコミカルな雰囲気で進むドラマ版に比較して、映画は全体的にシリアス。ドラマ版のように笑い転げるようなシーンはありません。

けれどドラマ版をよく見てみると、1・2話→コミカル、3・4話→シリアス、5・6話→コミカル、7話→シリアス、8・9・10話→コミカル、11・12話→シリアスと、コミカルな部分の多い話とシリアスな部分の多い話がかわるがわる配置され、絶妙にバランスを取っていることが分かります。

これは、1話1話で切り替わる連続ドラマ版だからこそできた技だったのかもしれません。映画では全体が中断なく進むので、コミカルとシリアスの切り替えが難しかったのかも。

遠距離恋愛・事故の時に連絡の取れない危機・親挨拶・結婚とシリアスなテーマを詰め込んだ映画版。あまりコミカルさが勝つと、シリアスなシーンを損なうと判断されたのかもしれません。

ドラマ版でも、ルッキズムに苦しむ黒沢さんが安達くんに恋をした過程が語られる7話、二人がいったん別れを選択してから再び結ばれるまでの11・12話には、笑い転げるようなシーンは一切ありません。

全体が一続きでお話が進む映画版では、コミカルなシーンを入れるのは難しかったのかもしれませんね。

そういった意味では、映画よりも連続ドラマ2期、とした方が、ドラマのイメージを引き継げたのかもしれません。難しいところです。

 

社会派ドラマとしての奥行きを与えたドラマ版、原作に忠実な映画版

以前アメブロでも書きましたが、ドラマ版は原作から大きく離れたり、原作のエピソードをわずかに変化させたりすることで社会派ドラマとしての奥行きを与えています。

特に3話と7話。

3話では、原作ではその場のノリで始まった王様ゲームを、上司からの強要と改変することでセクハラやパワハラの問題に切り込んでいます。

また、7話では黒沢さんが安達くんに恋をしたきっかけの接待を、29歳時から新卒時に改変し、よりセクハラの悪質さを際立たせ、さらにルッキズムの問題にも発展させています。

こういった改変は、原作者の意図とは違うかもしれませんが、社会問題を深く意識させ、物語をより奥深いものにしています。

このあたりの問題は過去のアメブロ記事に詳しく書いていますので、興味を持って下さった方はこちらをご覧下さい。いずれも公開から1年経っても読まれている人気記事です↓

https://ameblo.jp/dr-nagi/entry-12671430140.html(3話について)

https://ameblo.jp/dr-nagi/entry-12672651477.html(7話について)

https://ameblo.jp/dr-nagi/entry-12674048736.html(2018年のBLドラマ「おっさんずラブ」との比較)

一方、映画版ではそういった改変はあまりありませんでした。

ただ一か所、安達くんに結婚を意識させたきっかけが、原作では「黒沢さんが風邪で急遽長崎に来られなくなった」ことから、映画では「事故にあっても連絡が取れない危機感」に変わっていたことでしょうか。この改変はとても良かったと思います。

映画では、親挨拶や同性婚など、それだけでも社会的にかなりシリアスな問題を含んでいましたから、これ以上深く描きすぎると重苦しいものになってしまった恐れもあります。

 

ドラマ版は30分×12話、合計6時間で原作5巻までの流れ。

映画版は100分強で原作6~8巻までの流れ。

やはり尺の問題、というのは大きかったと思います。

「ドラマでじっくり見たかった……」という意見が出るのも頷けます。

それでも映画は短い時間の中に大切なエッセンスを取りこぼしなく収め、駆け足にしろよくまとめていたと思います。

原作9~11巻の内容も、実写化が実現(できればドラマ2期)してくれることを願っています。

 

長い記事を最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

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