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『ベルサイユのばら』エピソード編初読感想①(ネタバレなし)

はじめに

皆さん今日は、たまなぎこと珠下(たまもと)なぎです。

初めての方は、初めまして。心療内科医でゆるく作家活動をしております、珠下なぎと申します。

 

ブログご訪問下さり、ありがとうございます!

最近ベルばら記事ばかりになっていますが、今日もまたベルばら記事です(笑)。

歴史記事もまた書きますが、当面はベルばらネタが多すぎて、しばらく続くと思います。

 

さて、今回は『エピソード編』についてのご紹介と感想です。今回はネタバレなしです。

 

そもそもエピソード編とは

『ベルサイユのばら』は、本編は1972年から1973年にかけて週刊マーガレットに連載されました。その約10年後、オスカルの姪であるル・ルーの活躍を描いた「外伝シリーズ」が描かれます。

しかし、本編は1973年の時点で完結・終了となっていました。

ところが、本編連載終了後40年後、2013年から2017年にかけて、新たに「エピソード編」として、登場人物の革命後の運命や過去エピソードを集めた作品が『マーガレット』に連載。2014年から2017年にかけて単行本の形で出版されました。

 

たまなぎはエピソード編の存在は知っていましたが、ちょうどこの頃本を読む暇などないほど多忙だったため、そのままスルーしてしまっていました。しかし、今年になって劇場版『ベルサイユのばら』が公開され、ベルばら熱が再燃しまして、入手しようと思ったのですが、新品は品切れ、中古はいずれも価格が倍ほどに吊り上がっていました。

迷いましたが、ちょうど近くの図書館にはベルばら全14巻がそろっていましたので、とりあえずそちらを読むことにしました。

 

エピソード編の内容

エピソード編の内容は、次のとおりです。

コミックス11巻収録

①アンドレ編

ジャルジェ家に引き取られる直前のアンドレのエピソードから始まり、アンドレの幼馴染の少女・クリスティーヌとアンドレの革命前夜のパリでの一瞬の再会、そしてその後の彼女の運命が描かれます。

一瞬ですが、貴重な両想い期のアンドレとオスカルが見られます。ラブラブです。

②ジェローデル編

オスカルの元部下であり、後に求婚者となるジェローデル。彼の生い立ちと、10歳のジェローデルと11歳のオスカルの初対面のエピソードが描かれます。ライバル心丸出しのジェローデルに、オスカルは……?

③フェルゼン編

マリーアントワネット処刑後、故国に帰り着いたフェルゼン。彼は長年の外国での経験を評価され、オーストリア大使に任命されます。そこで彼が出会ったのは……。かなり辛いお話です。

④アラン編

バスティーユで重傷を負ったアランは、ベルナール・ロザリー夫婦の献身的な看護で一命をとりとめます。その後彼は国民衛兵となり……。一瞬ですがル・ル―ちゃんが登場します。

 

コミックス12巻収録

⑤ジェローデル再び編

ひそかにオスカルに想いを寄せ続けていたジェローデル。彼の目から見たオスカルやフェルゼンの姿、そしてフェルゼンの妹ソフィアとの心の交流が描かれます。

⑥オスカル出生の秘密編

オスカルの両親、ジャルジェ将軍夫妻のなれそめの物語。あの優しくおとなしそうな母上に、こんなエピソードがあったとは……! アントワネットの母君、マリア・テレジアの若い頃のエピソードも登場します。

コミックス13巻収録

⑦オスカル編

オスカルの人生の節目節目に幻のように現れる謎の女性。ついに彼女の正体が明らかになり、彼女の向き合ったオスカルは……? オスカルの生き様とその葛藤をえぐりとるように描かれた作品です。

⑧マリー・アントワネット編

革命前夜のフランスにやってきた、高名な時計職人・ブレゲ。彼はアントワネットから「すべての機能をそなえた、この世で最高の時計を作って欲しい」と依頼を受ける彼の時計はアントワネット、オスカル、オスカルの両親とさまざまな人々の人生と関わっていき……。

コミックス14巻収録

⑨ロザリー編(完結編)

フランス革命後、恐怖政治と混乱の長い時代を経て、ナポレオンが帝位につきます。時代に翻弄されながらもオスカルやアンドレ、アントワネットたちの運命を見届け続けていたロザリーも、時代のうねりに巻き込まれ、ついにフランスから逃れざるを得なくなります。ロザリーとその息子フランソワがたどりついたのは、老いたフェルゼンが国王のそばで権力をふるうストックホルム。

フェルゼンの死の真相と、そして行方不明になっていたジェローデルの運命の結末が語られる、壮大な物語です。

 

エピソード編感想

エピソード編初読みの感想は、

「容赦ない! 重い! 辛い! 救いがない! でも最高!」

でした。

『ベルサイユのばら』本編では、革命側についたオスカルは「自分の人生に悔いはない」と従容として死につき、バスティーユ陥落は「新しい歴史の1ページがひらかれたまばゆいばかりの瞬間」と描かれ、フランス革命そのものは肯定的に描かれています。

その後も、史実に基づいて、アントワネットの辿った悲劇的な運命が描かれますが、革命の暗部については抑制的で、どうしても描かなければならない部分だけを取り上げた印象でした。

それよりも、アントワネットとフェルゼンの愛、王妃として誇り高く死につくアントワネットの姿などが読者の印象に残ります。

 

ところが、このエピソード編では、フランス革命の暗部が容赦なく描かれます。

革命を起こした民衆側が決して理想に燃える高潔なばかりでなく、下劣さや凶暴さをむき出しにする場面、ルイ16世夫妻の死後の子どもたちの受けた過酷な運命、アントワネットを失って別人になってしまったフェルゼンの姿、そしてそのむごたらしい死などが生々しく描かれています。

 

この惨い面からベルばらのキャラたちの運命とフランス革命を描くことにより、物語もキャラたちもより立体的になり、読者の心に深い印象を残すことに成功しています。

 

『ベルサイユのばら』は本編だけで、既に完結した傑作ですが、この4冊のエピソード編が加えられたことで、さらに「完成した」作品となったように思えました。

 

本編のみでエピソード編を未読の方には、「絶対に読んだ方がいい」とお勧めしたい作品です。

ただ、時間と心に余裕のある時に読まれることをお勧めします。かなりのダメージをくらいます(笑)。

次回はネタバレありまくりの重い感想を書きます。よろしくお願いします。

 

まとめ

・『ベルサイユのばら』連載終了後40年以上を経て新たに描かれた『エピソード編』はコミックス全4冊で、革命後のキャラたちの運命や、本編の時間軸でも描かれなかったエピソードが描かれる。

・内容は、革命の暗部やキャラの辿った運命の悲惨さが生々しく描かれており、かなり重いが、その分ベルばらの物語が立体的になり深みを増している。

・本編のファンの方には強くお勧めする。

 

ベルばらについては他にもいくつか記事を書いています。気になった方はご覧下さい!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

 

 

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