『大江山恋絵巻』 歴史 物語 作品解説&エピソード

源博雅が鬼からもらった笛と『大江山恋絵巻』BGM

はじめに

皆さん今日は、珠下なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

さて今日は、『大江山恋絵巻~人の巻~』PVで使わせて頂いている、BGMについて。(PVはこちら↓)

実はこの音楽、『大江山恋絵巻~人の巻~』のメインテーマである「鬼」と深い関係があったのです!

 

PVができるまで

このPVは、先に動画が出来てきました。その後、LTA出版事業部の月那さんに、イメージに合いそうなBGMをフリーBGMのサイトから数種類ピックアップして頂き、イメージ動画と合わせてみて、検討と話し合いの末に決まりました。

その結果、使わせて頂いたのがこちらの音楽です。

フリーBGM素材『葉二~源博雅に捧ぐ(はふたつ/みなもとのひろまさにささぐ)』試聴ページ|フリーBGM DOVA-SYNDROME

平安時代を思わせる雅な雰囲気と、後半に向けて盛り上がっていくイメージが、動画にぴったりだったから。

そして決め手になったのは笛。物語の中で、酒呑童子が主人公との出会いの場面で、笛を吹くシーンがあるからです。

 

BGMのテーマと『大江山恋絵巻~人の巻~』との共通点

PVが完成した時点ではBGMのテーマは深く考えず、イメージと笛の音で選ばせて頂いていました。

しかし、作曲者の田中芳典さんのコメントをよく見ると……。

尺八を主役にしたヒーリング系BGM。
ギターを異国の民族楽器という位置付けにしています。
雅楽ですと、東儀秀樹さんが有名だと思います。

和風、平安時代の雅な雰囲気と神秘的なイメージの 曲です。

タイトルは長慶子や夢枕獏の小説『 陰陽師』でお馴染みの源博雅の愛笛から。
曲のモチーフは月と源博雅です。

※源博雅・・・平安時代中期の公家。従三位。管弦の名手として有名。
彼が関わる逸話は 音楽に関連するものが多いです。

葉二・・・源博雅が朱雀門の鬼とセッションした際に自分の笛と交換して手に入れた笛(竜笛)

ビットレート 320kbps

ゲーム、ドラマ、ドキュメンタリー、映画、などでは合うと思いますが、
全く予想外な使い方をされても楽しいと思っています。

なお、尺八は一尺八寸です。

和風、茶道、茶室、尺八、、朱雀門、源博雅、安倍晴明、BGM、田中芳典、

(注:赤字筆者)

 

なんと、意外なところに鬼とのつながりが!

源博雅が鬼からもらった笛の名をタイトルに持ち、「月と源博雅」をイメージして作られた曲だということなのです。

源博雅は、夢枕獏氏の有名な小説『陰陽師』にも主人公・安倍晴明の友人として登場していますから、なんとなく『大江山恋絵巻~人の巻~』の世界観に近いかな? とは思っていましたが、ここまで共通点があったとは!

 

葉二~鬼からもらった笛

源博雅が鬼と笛を交換する話

せっかくですから、「源博雅が鬼と笛を交換した」話について、ちょっと調べてみました。

このお話は『十訓抄』という鎌倉時代の説話集に載っているお話です。

 

大まかに言うと、次のようなお話だそうです。

源博雅はある月の明るい夜、朱雀門の前で笛を吹いていました。すると、見知らぬ人が現れて同じように笛を吹くのです。その人の笛の音はとても素晴らしく、お互いに言葉を交わさないまま、月の夜に笛を合奏することが続きました。

ある時、二人はお互いの笛を交換して吹きました。博雅が相手からもらった笛は大変すばらしく、相手がいつまでも「元の笛を返してください」とも言わないので、交換したままになっていました。

博雅が亡くなってから、帝がこの笛を色々な笛の上手な人に吹かせてみましたが、博雅のように素晴らしい音を出せる人はいませんでした。

ある時、浄蔵という素晴らしい笛吹きが現れたので、この笛を吹かせてみると、博雅に劣らない音を出したので、帝は「朱雀門の前でこの笛を吹きなさい」と命じました。

浄蔵が月の夜にその笛を朱雀門の前で吹くと、門の上から「やはり素晴らしい笛だなあ」と大きな声で褒める声が聞こえたので、その笛が鬼のものだと分かったということです。その笛は葉二(はふたつ)と名付けられ、天下一の笛となったということです。

 

たまなぎが妄想した風景

なんとも幻想的で、しかも色っぽささえ漂わせる物語ではありませんか!

 

想像して下さい。

雅な公達が月夜に笛を奏でていると、どこからともなく人が現れて、静かに笛の音を合わせてくる。

しかも(後で判明したところによると)、その人は実は人ではない。

月の光の下、二人は言葉でなく、笛の音を通じて心を通わせる。

美しい笛の音が響き渡る中、人と人ならぬものが笛の音を合わせるひとときは、あたかも現世(うつしよ)と幽世(かくりよ)の狭間で、一期一会が作り出す、奇跡の時。

何て美味しい……(たまなぎの妄想暴走中……以下自粛)。

 

源博雅が鬼と笛を吹きかわすシーンは、実は何度も絵にも描かれています。興味のある方は、ぜひこちらもご覧下さい!

源博雅と鬼の笛の話|太田記念美術館 (note.jp)

 

まとめ

・たまなぎの新刊『大江山恋絵巻~人の巻~』PVに使わせて頂いたBGMは、源博雅が鬼からもらった笛をテーマに作られたものだった。

・源博雅が鬼からもらった笛の話が記されているのは鎌倉時代の説話集『十訓抄』で、これには博雅が月夜に朱雀門で鬼と笛を吹きかわし、それぞれの笛を交換した話が書かれている。

最後に、素晴らしいBGMを公開して下さった田中芳典様に感謝を込めて。

最後までお読み下さって、ありがとうございました!

 

 

 

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