皆さん今日は、珠下(たまもと)なぎです。
今日も来て下さって、ありがとうございます!
2023年1月23日より、九州国立博物館にて『加耶』展が始まりました。(3月19日まで)
『加耶』といえば、鉄で栄えた朝鮮半島南部の古代の国々。
「オニ=産鉄民族」をテーマに小説を書いている者としては見逃せません。
というわけで、さっそく行って参りました。
会場内は撮影OK、また、寒波襲来中の午前中とあって人もまばらで、ゆっくり楽しむことが出来ました。
紹介したいものがたくさんありますので、2回に分けてお送りします。それではご覧下さい!
1.加耶諸国とは
まず、加耶について軽くご紹介しておきましょう。以下『加耶』展のパンフよりの引用です。
加耶は4世紀から6世紀にかけて、朝鮮半島中南部に興った国々の総称です。
鉄で栄え、金で飾った加耶諸国は、古墳時代の日本にもさまざまな影響を与えました。
本展では、最新の研究成果に基づいて、加耶の前身である弁韓に始まり、562年に大加耶が滅亡するまでの、加耶の興亡の歴史をたどります。
2.鉄の国、加耶
まず展示場に足を踏み入れると、豊富な鉄製品の数々に目を奪われます。
有棘利器。阿羅加耶。4世紀末~5世紀前半。これは、鉄鋌(てってい,鉄の延べ棒)を加工して作った儀式用の道具だそうです。
左が5世紀前半、右が4世紀後半の轡(くつわ)。こんな昔に、これほどの細かい細工をほどこす技術があったとは驚きです。
4世紀の短甲(よろい)。実用性もさることながら、装飾をほどこすほどの余裕もあったのですね。
馬冑(ばちゅう)。4世紀後半から5世紀前半のもの。お馬さんも防備は万全だったようです。
鉄矛、鉄剣、鉄斧。これらが2世紀のものだというのですから、その技術の進みぶりには目を見張るばかりです。
鉄製の杏葉。6世紀前半。杏葉とはお馬さんにつけていた飾りです。
沖の島で出土したものにもよく似ていますね。
鉄製品ではありませんが、ちょっと変わったものも。
鴨型の土器のですが、頭の上にぐったりとした人が載っていますね。これは、鳥が死者の魂を運ぶと信じられていたことに由来するそう。4世紀の金官加耶のものです。
2.優れた装飾品の数々
ガラス製の首飾り。これは2世紀の弁韓時代のものだそうです。今でも通用するくらい美しいですね。
そして時代が下って、5~6世紀ともなり、大加耶が台頭してくると、こんな優れた金製品が現れるようになります。
耳飾り。筑紫の君一族で知られる、八女の立山山古墳で出土したものに似ています。立山山古墳で出土したものは、加耶産だったのでしょうね。
5世紀中葉の金銅冠と、6世紀の首飾り。いずれも大加耶のものです。
3.国際色豊かな出土品たち。
加耶諸国は、鉄と金の文化を武器に、様々な国と積極的に外交を行い、古代の国際社会を生き抜いていました。これらの出土品からは、加耶諸国が活発な国際交流を行っていたことが分かります。
5世紀後半のガラス容器。地中海産のものと推定されています。はるかシルクロードを渡ってやってきたものですね。沖の島からもササン朝ペルシアのガラス製品が出土しています。これも加耶を経由して入ってきたものなのかも。
鶏の頭をかたどった、青磁の壺、中国南部で作られたものだそう。
加耶諸国は、最後の大加耶が562年に滅亡して滅びますが、加耶の優れた技術や文化は、はるか海を越えて日本に渡り、日本文化の中で生き続けます。
次回の記事では、『加耶』展の展示品より、古代日本に残された加耶文化の跡をご紹介します。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました!