皆さん今日は、珠下なぎです。
今日も来てくださって、ありがとうございます!
前回までの記事では、『鬼滅の刃』に登場する鬼は、日本古来の鬼というより、むしろ吸血鬼に近いのではないか、というお話をさせて頂きました。
そして、『鬼滅の刃』についてはもう一つ、重要なお話があります。
それは、描かれた鬼たちよりも、鬼を退治する存在=鬼殺隊の方が、日本古来の鬼の性格を多数備えている、ということなのです。
鬼殺隊にとって、重要な武器は「刀」であり、鬼殺隊には専属の刀鍛冶の一族がいて、専用の刀を作っています。
このブログを最初の方から読んでくださった方や、『遠の朝廷にオニが舞う』の読者の方にはお分かりでしょう。
鬼のルーツの一つは、産鉄民です。
鉄を使った農具は生産能力を高め、また、鉄は武器になることから、鉄を作る民族は特殊な能力を持つものとして恐れられると同時に蔑まれたり、権力に利用されたりするという、悲しい運命を背負いました。
それが鬼のルーツの一つになったことは、このブログでも何度も言及したとおりです。
『鬼滅の刃』に登場する刀鍛冶の一族は、炭治郎の刀を作ってくれた鋼塚さんを始めとして、「ひょっとこ」のお面をつけています。
これも有名な話なのでご存じの方も多いかも知れませんが、ひょっとこは「火男」。
ひょっとこのお面をよく見ると、左右の目がアンバランスで、口を尖らせています。
鉄を作るにも、成形するにも、非常な高温が必要になります。
口を尖らせるのは、竹筒などを使って火に空気を送り、炉の温度を上げるための仕草です。
また、左右の目がアンバランスなのは、片目を眇めて火を見たり、また、高温の火花に片目を潰されたりすることの多い、産鉄民の外見を表したもの。
このような産鉄民の特徴を描いたものが、ひょっとこのお面なのです。
現代では差別用語となっていますが、片目の人を表す「めっかち」という言葉も、「目鍛治」から来ているされています(沢 史生著『鬼の日本史 下―福は内、鬼は外』)。
また、産鉄の神と言われる天目一箇神は、一つ目の神として知られています。
さらに、12巻では、刀鍛冶の一族が住む場所として、所在地を秘密にされた「隠れ里」が登場します。
「隠れ里」といえば忍者を連想させますが、忍びのもの、忍者と呼ばれて戦国時代などに活躍した人々も、実は産鉄民などの「まつろわぬ民」の末裔だろうと考えられています。
忍者はマキビシ、手裏剣などの特殊な武器を使うイメージがありますが、これらは武士には使われなかったオリジナルの武器で、いずれも鉄製。
製鉄、最低でも鋳造の技術を持たなければ作ることはできないのです。
いかがでしたか?
「実は鬼殺隊の方が鬼に近いのでは?」シリーズはまだ続きます。
次回は主人公の炭治郎についてお話ししたいと思います。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました!