サブカル チェリまほ

『チェリまほTHEMOVIE』ネタバレあり感想①(魔法について)

皆さんこんにちは、珠下なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

 

さて『チェリまほTHEMOVIE』が封切られてからそろそろ1か月がたちます。

🍒🏠の皆様もご覧になっていない方はほとんどいらっしゃらないのではないか、と思われます。

ので今回からはネタバレありの感想を書こうと思います。

映画だけでなく、原作のネタバレもありますので、映画をご覧になってこれから原作を読む方はご注意くださいね。

ちなみに、私は原作もドラマも映画も大好きですが、映画も「ここはもう少し……!」と思ったところもありました。

「ネガティブな感想は見たくない!」という方は先の閲覧をお控え下さるようにお願い致します。

 

映画の大筋は、黒沢さん・安達くんのメインカップルについては、おおむね原作6~8巻にそった内容でした。

原作にない派手な事件を入れたり、当て馬を出して三角関係にしたりといった、「話を盛り上げるための余計な設定」がなかったのはとても良かったです。全体的に、「原作に忠実に真面目に作られた印象」でした。コミカルさもやや控えめ。

原作と少し違ったのは、安達くんの長崎転勤が決まってから、二人が結ばれるまでの過程。

転勤が打診されてから二人がギクシャクするのは同じですが、そこからは少し違います。

原作ではお試しで長崎に出張に行った安達くんが、黒沢さんに思いを綴った手紙を残します。黒沢さんはいてもたってもいられず長崎にかけつけ、二人は「気持ちを言葉で伝え合い」、結ばれます。その後安達くんは長崎に転勤になりますが、黒沢さんは職権を濫用(笑)して長崎の有名陶器メーカーと契約を取り、出張を名目にしょっちゅう長崎に押し掛けるのです。

一方、映画ではすれ違いを抱えたまま安達くんは転勤。そんな中、過労で倒れた安達くん。持っていたスマホがトラックに轢かれたこともあり、事故という誤報が東京に伝わり、黒沢さんは安達くんの運ばれた病院にかけつけます。安達くんのスマホは壊れてしまい、お互いに連絡を取ることもできない。不安に押しつぶされそうになりながら病院で再会した二人。安達くんの部屋で、転勤をめぐるお互いの本当の気持ちを不器用ながら伝え合います。

「お互いに何かあった時に連絡もできない」深刻さが原作版より強くなったのは、とても良かったと思います。

転勤をめぐるすれ違い、言葉で伝える大切さ、いざというときに連絡ができない辛さ、原作ではばらばらのエピソードに埋め込まれていたテーマを短い尺の中に収める、秀逸な改変でした。この時に抱いた危機感を、安達くんに結婚への決意を抱かせる流れにうまくつなげているのも良かったです。

このシーンの赤楚衛二さん・町田啓太さんの演技もすごく良かったです。いつも完璧な黒沢さんが、安達くんに何かあったらという不安に動揺して、顔を覆って声を震わせて泣きじゃくる姿。それを慈愛に満ちた表情で包み込むように見つめ、そっと自分から口づける安達くん。とても美しい場面でした。

ただ、次の日の、結ばれた朝のシーンは少し物足りなかったところがありました。魔法が消えたことに動揺する安達くんをそっと抱きしめる黒沢さん。このシーンでは音楽がなく、黒沢さんの心音がBGMのように聞こえます。朝の光の中で幸福に包まれてほほ笑む場面は、絵的にはとても綺麗でした。

けれど、この表現の仕方では、「30歳まで未経験だったから魔法使いになり」「黒沢さんと結ばれたから魔法がなくなった」という単純な解釈になっているのが少し物足りなかったのです。

原作では、二人が両想いになった場面で、「俺はこいつの心に触れるために魔法使いになったのかもしれないという安達くんのモノローグがあります。それに呼応するように、結ばれた後のシーンで、「魔法なんてなくったって黒沢となら大丈夫だって思ったからきっと……(魔法がなくなったんだ)」という安達くんのセリフがあります。

つまり、安達くんは「黒沢さんの心に触れるために魔法使いになり」「黒沢さんとの関係において魔法が必要なくなったから魔法を失った」という意味が付け加えられているのです。ここは、物語の根幹である魔法に関わる部分ですし、安達くんの成長ぶりが見られるシーンでもあったので、映画でも見たかったところでした。

 

長くなってしまいましたね、すみません。いったん切ります。ネガティブなことも書いてしまってすみません。次回は原作にはない映画のここがよかった!というところを書きたいと思います。最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

© 2024 たまなぎブログ by LTA出版事業部