皆さんこんにちは、珠下なぎです。
今日も来てくださって、ありがとうございます!
『鬼滅の刃』の鬼は、日本古来の鬼というより吸血鬼の性格が強いのではないか、というところから始まったこのシリーズですが、前々回の記事に読者の方からご指摘を頂きました。
前々回の記事で、ポリドリ作の『吸血鬼』を一番最初に日本に紹介したのは詩人で作家の佐藤春夫氏で、「吸血鬼」という訳語が最初に使われたのは、この頃(1934年)頃だろう、と書かせていただきました。
ところが、ご指摘下さったノセール様のブログによると、「吸血鬼」という言葉の用例は、さらに古くに見られるということなのです!
そもそも誰が一番最初に日本でヴァンパイアの訳語に「吸血鬼」という訳語を当てたのか、ということに言及したのは、著名な怪談作家であり評論家の東雅夫氏だそうです。
2005年、東雅夫氏は、その論文の中で、「日本で吸血鬼という言葉が最初に使われたのは1915年、南方熊楠によるもので、彼の造語である」と紹介されています。
しかし、その後、1914年には押川春浪が小説の中でヴァンパイアの意味で「吸血鬼」という言葉を使っているのが見つかりました。
さらに、西洋の小説を紹介する中で「吸血鬼」という言葉が使われている、さらに古い用例も次々と見つかっています。
最も古い例では6世紀の仏典の中にも見られており、「血を吸う化け物」の意味で「吸血王」という言葉が使われています。
14世紀の仏典の中にも、同じように「吸血鬼」という言葉が使われていることを京極夏彦氏は指摘されています。
ただ、この頃の吸血鬼はもちろんヴァンパイアとイコールではありません。
「吸血鬼」という言葉はもともとマイナーながら仏典の中などに存在しており、のちにヴァンパイアを指すようになった、と考えていいのかもしれません。
吸血鬼=ヴァンパイアとはっきり書かれているのは、1873年の英和辞典が最初。
ただ、この頃の「ヴァンパイア」には「コウモリ」の意もあると紹介されています。
吸血鬼が南方熊楠の造語だった、という通説すら私は知らなくて申し訳ありません(私が参考にした文献が少し古かったようです)。
さらにその通説を覆し、吸血鬼の語源を発見したのは、ご指摘下さったノセール様によると、烏山奏春様とのことです。
押川春浪の用例が南方熊楠よりもさらに古い、という指摘を受けてさらに古い用例を集めてまとめられ、それは通説を唱えたご本人の東雅夫氏にも認められ、京極夏彦氏にも対談の中で取り上げられたそうです(※詳細はノセール様のブログをご確認ください)。
ノセール様のブログはこちらです。
とても詳しくかつ面白いので、吸血鬼に興味を持った方はぜひ、こちらのブログもご参照ください。
最後まで読んでくださってありがとうございました!