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珠下なぎの歴史メモ㉑『鬼滅の刃』の「鬼」についてその1 「鬼」なのに吸血鬼!?

皆さん今日は、珠下なぎです。
今日も来て下さって、ありがとうございます!

今日から新シリーズを始めます(長くなる……かも?)

ご存じのように、私は昔から鬼に興味がありました。

中学時代に読んだ歴史ファンタジー『宇宙皇子』(うつのみこ)の影響も少なからずありましたし、鬼たちの姿を探るにつれ、鬼たちが歴史の陰の部分をこれでもかと私たちに突き付けてくる存在であることを実感したからです。

疫鬼としての鬼、産鉄民としての鬼、異国人としての鬼、縄文の神としての鬼……。これまで当ブログでも、様々な鬼の姿を紹介してきました。

そんなわけで私は以前から鬼好きだったのですが、最近鬼は意外なところから脚光を浴びるようになりました。

それは皆さんご存じの、『鬼滅の刃』。大ヒット作となったこの作品は、一種の「鬼ブーム」を生み出しました。

テレビや映画で漏れ聞く内容などから、私は当初こんな感想を持ちました。

「うーん。これ、ちょっと私が思っていた鬼と違う? でも何かに似てる???」

しばらく考えて、

「あ、そうだ! これ何かに似てると思ったら、『吸血鬼』だ!」

鬼は太陽の光が苦手、首を斬らなければ死なない、冒頭で鬼に襲われて死にかけた禰豆子が鬼になる、などの設定が、日本古来の鬼というより西洋の吸血鬼を彷彿とさせたのです。

日本の鬼にはこのような特徴はありませんからね。

といっても以前の私は吸血鬼を語れるほど吸血鬼に詳しくありませんでした。
東ヨーロッパに吸血鬼伝説があること、19世紀末にブラム・ストーカーが吸血鬼伝説と15世紀に実在したワラキア公国の君主・ブラド公を結び付けて小説「吸血鬼ドラキュラ」を発表、それが吸血鬼もののルーツになったことくらいしか知らなかったのです。

それから『鬼滅の刃』に描かれている鬼のルーツや吸血鬼ものに興味を引かれ、色々吸血鬼伝説について調べると、面白いお話が色々出てきました。もちろん『鬼滅の刃』も全部読みました!

そこで一大ブームを築いた『鬼滅の刃』の「鬼」について、もともとのスラブの吸血鬼伝説と日本の鬼、他の文学作品もご紹介しながらご紹介してきたいと思います。

長くなりますので、今回は吸血鬼伝説のルーツになった、スラブの吸血鬼について軽くご紹介します。

吸血鬼伝説はロシアや東ヨーロッパなど、スラブ人と呼ばれる人々の中で信じられていた伝承です。

この吸血鬼は「生きている死体」であり、墓から蘇って人の血を吸ったり、生前の妻がまだ若い場合はその寝所に入って妻と情交したりする、と信じられていました。

「生きている死体」というのは一つのポイントです。

キリスト教は霊肉二元論の立場に立ちます。つまり肉体の死後も魂は肉体を離れて生き続けます。

ですから魂が死体に宿ったまま、死体が生き返るということはありえないことなのです。

つまり、スラブ人の間の吸血鬼伝説は、キリスト教の伝播よりずっと古い時代から根付いていたことが分かります。

この吸血鬼伝説は、さらに古い時代-古代エジプトや古代ギリシアの伝説をも取り込んでいます。

次回はそれらについてお話しします。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

 

 

 

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