はじめに
皆さん今日は、たまなぎこと珠下(たまもと)なぎです。
今日も来て下さって、ありがとうございます。
今回はたまなぎの新作『大江山恋絵巻~人の巻~』キャラ紹介最終回です。
最終回は敵キャラの皆さん!
史実・伝説をご紹介していますが、酒呑童子伝説に触れたことのない方にとっては、作品のうっすらネタバレがあります。今から作品をお読みになる予定の方で、酒呑童子伝説をお読みになったことのない方は、作品の読了後にお読み下さいませ。
鬼の敵たち
酒呑童子伝説の出典である、『大江山絵詞』及び『御伽草子』「酒呑童子」では、酒呑童子ら大江山の鬼は、帝の命を受けた武士たちによって滅ぼされます。武士の頭領は源頼光(みなもとのよりみつ)。
その下に「頼光の四天王」と言われる四人の家来がいます。碓井貞光、坂田金時、卜部季武、渡辺綱。そして、酒呑童子退治にはもう一人、藤原保昌が加わります。この人は頼光の家来ではなく、対等な関係だったと言われています。
『大江山恋絵巻~人の巻~』は鬼側から描かれた物語なので、鬼の敵たちについては細かく描写をしていません。この6人の中で固有名詞を持って登場させているのは、
①源頼光
②渡辺綱
の二人です。
鬼退治伝説の主役たち
源頼光
源頼光は、帝に命じられて結成された鬼退治チームのリーダー。当時台頭を始めた武士団の一人です。
父の満仲は摂津国多田に源氏武士団を形成し頼光はそれを継承し、自らは摂関家の警護なども務めているなど武士としての性格も否定できないが頼光は藤原摂関家の家司としての貴族的人物と評される傾向にある。
一方で中世文学のなかで坂上田村麻呂・藤原利仁・藤原保昌とともに中世の伝説的な武人4人組の1人と紹介された[1]。後世に成立した『今昔物語集』や室町時代になって成立した『御伽草子』などで丹波国大江山での酒呑童子討伐や土蜘蛛退治の説話でも知られる(『宇治拾遺物語』には登場しない。)。説話では、母の一族の嵯峨源氏の渡辺綱を筆頭にした頼光四天王(渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武)などの強者の家臣がいたと言われ頼光が実際に郎党を従えていたことを反映しているとも考えられている。また、古典『保元物語』や『梅松論』では古来の勇者の代表格として同時代の藤原保昌と併称され(酒呑童子討伐説話も古い形態では、源頼光と藤原保昌が両大将として描かれており、藤原保昌を酒呑童子退治の主人公とした説話もある[2])、『平家物語』では精兵の1人として頼光の名が挙げられているなど頼光に武勇的人物像を求める傾向もある。
頼光と頼光四天王が化け物退治に使用したと伝わる日本刀が実際に複数あり、東京国立博物館が所蔵する国宝と天下五剣に選ばれている太刀「童子切」や、源氏所縁の兵庫県川西市の多田神社が所蔵する安綱銘を持つ太刀「鬼切丸」[3]が酒呑童子を退治した伝承を持っている。また大覚寺、箱根神社、個人が所有する3口のそれぞれの太刀「膝丸」も土蜘蛛を撃退した伝承を持っている。北野天満宮が所蔵する「鬼切丸」は伝承の中の「髭切」と同一視されていて渡辺綱による茨木童子撃退の伝承を持っている。(出典:源頼光 - Wikipedia)
摂関家に仕えた有力な武士で、実在の人物です。
酒呑童子伝説や土蜘蛛退治伝説などは、『御伽草子』が成立した室町時代以降に登場するものですが、ベースになる伝説があり、そこに「武士の代表格」としての源頼光が登場人物としてあてはめられた可能性もあります。
『御伽草子』「酒呑童子」では、山伏に化けて酒呑童子らの目を欺き、毒酒を飲ませて眠らせ、柱に縛り付けて身動きできなくさせた上で首を刎ねる、という卑怯かつ残虐な方法で酒呑童子を殺害しています。これに対し、酒呑童子は「鬼神に横道なきものを!(鬼は卑怯な手段は使わない)」と激しくののしったとされています。
しかし、この「だまし討ち」という手段は、源頼光特有のものというよりは、権力側がまつろわぬ民を討つ時に使われた手段としてよく使われたものです。
古くはヤマトタケルがクマソタケルやイズモタケルを討った時にも使われていますし、ヤマトタケルの父である景行天皇も熊襲に対して同様の手段を用いていることが記紀に記されています。隼人の乱の際は、停戦協定に持ち込んで油断させたところを急襲した、と思わせる記述が、宇佐神宮の縁起書である『八幡宇佐宮御託宣集』にも見えるのです。
それほど昔のまつろわぬ民は手ごわかったということでもあるでしょうし、当時の権力側はまつろわぬ民に対して非道な手段を用いることをいとわなかった、ということでもあるのでしょう。
渡辺綱
源頼光四天王の中で、大江山の一件とは別に鬼と個別にかかわりを持つのは、この渡辺綱のみです。それは、鬼の腕を斬り落としたというエピソード。様々な芸能や物語で取り上げられ、いくつかのバリエーションがあるのですが、おおまかなところで言うと、次の要素からなる伝説です。
①渡辺綱が鬼の腕を斬り取る
②鬼の腕を陰陽師に見せると、陰陽師は物忌みをして家に籠るように指示する
③物忌み中の綱のところに、養母である伯母が現れ、鬼の腕を見せるように懇願する
④伯母は鬼が化けた姿であり、腕を見せられると、それを取り返して去る
この物語に登場する鬼は、時代が新しくなるほど茨木童子ということで統一されていくのですが、もともとは別の鬼だったようです。この伝説については別記事で詳しく考察していますので、気になる方はこちらの記事をぜひご覧下さい。
はじめに 皆さん今日は、珠下なぎです。 またまた、お久しぶりです(笑)。 7月(多分)発売のたまなぎの新作『大江山恋絵巻~人の巻~』の最終準備が大詰めのため、ちょっとブログの更新が遅れております。 & ...
たまなぎの新刊『大江山恋絵巻~人の巻』と茨木童子伝説
ちなみに、たまなぎ版酒呑童子『大江山恋絵巻~人の巻~』では、茨木童子が腕を斬られる羽目になるほど綱に近づいた理由について新解釈を加えており、綱自身のキャラにもオリジナルの要素を付け加えています。
気になった方はぜひ本編でお確かめください!
「酒呑童子(しゅてんどうじ)さまの命で、そなたを迎えに来た……」春まだ浅い日の朝、突然の雷と共に池田中納言の姫の前に現れたのは、この世のものとは思えない、美しい鬼だった。茨木童子(いばら ...
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まとめ
・作品中に鬼の敵として登場する6人のうち、固有名詞を持って登場するのは源頼光と渡辺綱の二名である
・渡辺綱のキャラ・茨木童子との攻防について、たまなぎはオリジナル要素を加えたエピソードに仕立てている
最後までお読み下さって、ありがとうございました!