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たまなぎブログ by LTA出版事業部

『遠の朝廷にオニが舞う』の世界㊶諏訪神社に伝わる鈴その3~「鈴なり」の由来~(by 珠下なぎ)

皆さん今日は、珠下なぎです。

 

前回及び前々回の記事で、従来の定説での製鉄の開始以前に、湖沼鉄を使った製鉄が日本の各地で行われていたことが確認されつつあること、そして諏訪神社に残された伝説や神事から、諏訪地方でもこの湖沼鉄を使った製鉄が、古い時代に行われていたことが示唆されることをお話ししました。

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これらと鈴の話とどうつながっていくのでしょうか?

 

湖沼鉄は、化石化すると褐鉄鉱と呼ばれる固い石になります。

この褐鉄鉱は、古くから日本で、鳴石、鈴石、餅鉄など、様々な名で呼ばれてきました。

 

褐鉄鉱は鉄鉱石に比べ、低い温度で還元が可能なので、弥生時代の須恵器を製造できる程度の技術があれば、十分製鉄が可能なのです。

 

ここで褐鉄鉱が「鈴石」と呼ばれていることに着目して下さい。

 

湖沼鉄は、化石化する過程で、内部の石灰分の多い中核が溶け出して空洞化し、固い殻状の構造となります。砂や石などが中に残った場合、それが転がることで音を出す、天然の鈴となります。

 

湖沼で沈殿した湖沼鉄は、鈴状の空洞を持つ固い殻を形成し、葦や薦など、水辺に生える植物の根に、固まりとなって付着します。

 

皆さんは、「鈴なり」という言葉をご存じでしょう。

ブドウなど、果実が密生して房状になっていることを指す言葉ですね。

 

ところが、皆さんがふだん目にする鈴は、房状になっていることはあまりないと思います。

「鈴なり」という言葉が密生した房状のものを指すということは、それより以前に、鈴というものが、密生して房状になっている、ということが前提になっているのです。

 

この「鈴なり」の状態になっている「鈴」は、褐鉄鉱が空洞状になり、天然の鈴となった状態を指すのだと、『古代の鉄と神々』の著者、真弓常忠氏は指摘しておられます。

 

この「鈴なりの鈴」は褐鉄鉱であり、そのまま製鉄の材料になり得たのです。

 

失われた古代製鉄法と鈴は、こうして結びつくのです。

 

農耕の効率を上げ、武器にもなり得た鉄は、古代人にとって貴重なもので、鉄をめぐって様々な争いが繰り広げられました。

 

鈴は、長い年月を経て歴史の闇の中に葬られた、古代人の技術を今に伝えているのです。

 

次回で鈴についての連載は終わりになります。

 

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

 

 

 

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