みなさん今日は、珠下(たまもと)なぎです。
今日も来て下さって、ありがとうございます!
今日は久々の読書メモ(?)。ホラー小説や怪談で大人気の加門七海先生の『七海さんのオバケ生活①』の感想です。
1.鬼好き作家・加門七海先生のこと
私が加門七海先生のファンになったのは、2020年刊行の『加門七海の鬼神伝説』からですから、ファンの中ではかなりにわかと言えます。
図書館の新着本で「鬼神伝説」の名が目に留まり、妖しくも美しい表紙に惹かれて開いてみたら、一行目でとりこになったのです。
面白いことに、世の中には、「鬼」という言葉に大きく反応する人と、そうでない人の二種類がいる。
ハイ、私前者でございます。
私が鬼の世界に興味を持ち始めたのは、確か2014年頃だったと記憶しています。
きっかけは真弓常忠先生の『古代の鉄と神々』。そこから鬼と呼ばれた産鉄民族の知らざれる古代史に惹かれはじめ、『鬼の日本史』をはじめとする沢史生先生の著作を読み漁り、深く知れば知るほど鬼の世界に惹かれていきました。
そんなときに出会った「鬼神伝説」ですからハマらないわけがありません。
もしこの世に酒呑童子サマがいたならば、私は始終ウロウロと視界に入ったり、隠し撮りをしたり、写真をベタベタ部屋に貼るというストーカーになるという自信がある…(中略)…あそこにいた女官は被害者ではない。超特別待遇だ。嫌だというなら代わってくれ!
あとがきのこの言葉には、自分の本心を見抜かれたようでドキリと致しました(笑)。ええ、完全に同意です。
ちなみに私は鬼だけでなく、怪談やホラーも大好き。そこから加門七海先生のご著書を読み漁りました。
もちろん『加門七海の鬼神伝説』は、その後我が家の本棚にもしっかりお迎えいたしました。
2.『七海さんのオバケ生活①』概要
そして今月、加門七海先生の日常を描いたコミックエッセイ『七海さんのオバケ生活①』が発売されました。
漫画なのでとても読みやすいです。七海先生ご本人が出ておられますが、以前拝見したお写真とそっくりです。おかっぱ頭に和服がよくお似合いで、お目目のくりくりしたとても可愛らしい七海先生ですが、実は不思議な力をお持ちです。
近所のお稲荷さんとお話ができたり、人でないものが見えたり……。
お稲荷さんにお酒のお供えをおねだりされたり、新盆にお母さまをお迎えしたら、お母さま以外のお客様もいらっしゃったり、神社にお願いをしたら「言葉どおり」にお願いを聞いていただいたものの、困った事態になったり……。不思議で少しくすっと笑えるような面白いエピソードが満載です。(私のお気に入りのエピソードは将門公。確かに静かにはなりましたね……でも……)
帯のお狐様は念願のお酒をもらってご満悦のお稲荷様。とても可愛らしいです。
電子版もありますが、紙版とほとんど値段が変わらないので、紙版がお勧めです。
3.あっちの世界とゆるく共存できる七海先生
この本で一番印象的だったのは、神様やお化けの世界と七海先生が「なんとなく共存」してしまっているということです。
実は私も10代初めの頃までは、なんとなくそれっぽいものを見たり感じたりしたことが何度かありました。
いや、はっきり「見た」のは1,2回だと思うのですが、小さい頃は、他の人には何ともなくても「異常に怖くて近づきたくない場所」がよくありましたし、大人になっても、「ここはダメ!」と思ってしまうことが時々あります。
医学生時代にも、そういう場所にいくつか遭遇しました。長~い歴史を持つ大学病院ですから、色々あったでしょう。同級生(もちろん医学生)に一人「見える」人がいたのですが、その人に言わせると、やっぱりそういう場所には「いる」らしいのです。(その人に言わせると、大学病院には結構お化けさんが沢山いて、子どもが廊下を歩いているな……と思ったらいきなり消えたりするそうです。ちなみに、大学1年の時に取り壊されましたが、旧結核病棟は、一般の学生の間でも「出る」と有名だったそうです)
そんなこんなで、私にとってあちらの世界は、「なんとなく感じるし惹かれるものだけれど、基本的に怖いもの」でした。
ですから、あちらの世界と「なんとなく共存できている」加門先生の度胸はすごい! と感嘆しました。
もちろん、中には「本当に怖いもの」「関わってはならないもの」もあり、それにはきちんと距離を取ることの大事さや、戦争などで悲しい亡くなり方をした方へ敬意を払うことも、本の中では書かれています。
「本当に怖いもの」「関わってはならないもの」と「関わってもいいもの」の区別がちゃんとつけられるから、「なんとなく共存」が可能になるのかもしれませんね。
「あちらの世界に」に興味のある方にはお勧めの一冊です。
もちろん、鬼の世界に深く惹かれる方には、ぜひぜひ『加門七海の鬼神伝説』もお勧めいたします!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!