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たまなぎブログ by LTA出版事業部

「舞いあがれ!」刈谷先輩の原点~「仮面ライダー鎧武」

皆さん今日は、珠下なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

 

今日は久々に推しネタを。

チェリ家の皆さまは、チェリまほ主演の赤楚衛二さんが出演中の朝ドラ「舞いあがれ!」は見ておられますか?

赤楚さんは主人公舞ちゃんの幼馴染。読書好きで詩を書くのが趣味の、優しい青年に成長します。

一方舞ちゃんは、大学に入学し、航空工学を学ぶかたわら、人力飛行機サークルで奮闘中。主人公の舞ちゃんもとっても頑張り屋さんで素直で可愛くて、毎朝癒されています。赤楚さんが出ない回でも、このドラマとても面白いのでお勧めです。

さて、この人力飛行機サークル「なにわバードマン」には個性的な先輩が勢ぞろい。中でも飛行機の設計を手掛ける三回生の刈谷先輩は「なにわの天才」と称されるクールビューティ。

この俳優さん……どこかで? 高杉真宙さん?どっかで聞いた名前……と考えたら、2013年の「仮面ライダー鎧武」の葡萄の君(ライダーの名前覚えてなかった💦)じゃないですか!

 

この「仮面ライダー鎧武」は私が唯一通して見た仮面ライダーなのですが、非常に面白いテーマを含んでおり、いつかこれについて書きたいと思っていましたので、この機会に書かせて頂こうと思います。

なるべくネタバレなしで書こうと思いますが、もしネタバレしてたらごめんなさい。

 

1.仮面ライダー鎧武の概要

仮面ライダー鎧武のあらすじはこんな感じです。まとめきれなかったのでWikipediaより引用。(赤字筆者)

西暦2013年。巨大企業ユグドラシル・コーポレーションの企業城下町沢芽市(ざわめし)。

企業の介入によって急速な発展を遂げたことで人々が豊かな暮らしを送る一方、閉塞感を覚えた若者たちはストリートダンスに熱中していた。彼らはフリーパフォーマンスのためのステージを取り合い、特殊な錠前ロックシードを用いた対戦競技インベスゲームに没頭していた。そうしたショーのための陣取りに参加する若者たちビートライダーズが熾烈なランキング争いに身を投じる一方、その一人だった青年葛葉紘汰は大人への変身を願い、ダンスをやめてアルバイトに励んでいた。

そんな紘汰のもとに、かつてのチームメイトである高司舞が現れ、リーダーである角居裕也の失踪とチームの窮状を訴えて救援を要請してくる。紘汰は自分の現状に悩みながらもチームメイトの頼みを断れず、捜索の最中、裕也に呼び出されて向かった倉庫街に空間の切れ目を発見する。その向こうには奇妙な森(筆者注;ヘルヘイムの森)が広がっており、普段は競技に使用している獣インベスが制御されない状態で跋扈していた。踏み込んだ紘汰と舞に対して敵意を剥き出しに襲いかかってくるインベス。紘汰は、突如現れた舞に似た謎の女性が発する「あなたは今、運命を選ぼうとしている」という警告に、迷いなく舞を救うことを選択、森で拾ったベルト戦極ドライバーにロックシードをはめ込み、アーマードライダー鎧武へと変身。インベスの撃破に成功する。

裕也が見つかるまでという条件で一時的にチームに戻った紘汰は、インベスゲームにも参加する。所属するチーム鎧武は破竹の勢いで勝ち進めるものの、新たなアーマードライダーが続々とランキング争いに参加しはじめる。次第に激化するダンスチーム同士の抗争には、若者たちを利用せんとするユグドラシル・コーポレーションの陰謀が深く根ざしていた。さらに世界を脅かすヘルヘイムの森の侵攻と、その奥深くに住まう人間ならざる存在フェムシンムの思惑が、沢芽市へと影を落とし始める。たったひとりだけが手にすることを許された、世界を思うままに変える大いなる力禁断の果実。その存在がビートライダーズたちを子供の遊びでは済まされない、地球全土を巻き込んだ戦いの運命へと誘いこんでいく。

 

2.独占企業が支配する世界での労働の価値・そしてインベスゲーム

「仮面ライダー鎧武」は、ユグドラシル・ヘルヘイムなど北欧神話に題材を取り、また禁断の果実など旧約聖書を思い起こさせるアイテムも用いながら、非常に社会的なテーマのちりばめられた作品に仕上がっています。

沢芽市は、巨大企業・ユグドラシル社が支配する世界。

主人公がバイトをする宅配ピザも、建設会社も、また病院や介護施設なども全てユグドラシルの傘下企業。豊かではあるけれど閉塞感漂う世界です。

人気ゲーム「ファイナルファンタジー7」で描かれた、巨大企業「神羅」グループが支配する世界を何となく思い起こさせます。

独占または、独占までとはいかないけれどごく少数の巨大企業が政治と結びつき、一国を支配する構造は、資本主義社会の行きつく先であり、日本はじめ現在の先進国の多くの現状を風刺しているように見えます。

また、若者たちが熱中するゲームに用いられる怪物は「インベス」。英語の「invest=投資」から取ったものと思われます。

「インベスゲーム」で賞金を稼ぐ快感を知り、バイトもやめてしまった主人公に、同居する姉はこう諭します。

「お腹が空いてる人に食事を届けるのも、人が住む部屋を綺麗にするのも意味のある仕事よ。けど、紘汰がインベスゲームで勝ったって、喜ぶのは紘汰とその友達だけじゃない」

現在放送中の朝ドラ「舞いあがれ!」でも、主人公の兄は、デイトレードに没頭し、会社も三年でやめると宣言します。長年実直にものづくりに取り組んできた主人公の父は、その価値観をなかなか受け入れられないでいるようです。

それに似た価値観の対立が、ここでも描かれているのです。

 

3.ユグドラシルの御曹司・光実

高杉真宙さん演じる光実は、ユグドラシル社の御曹司。

聡明で真面目な高校生として登場します。すでにユグドラシル社の中心で活躍している兄の影で目立たない存在ですが、根底には家や兄の支配から逃れて思いのままに動きたいという欲求を秘めており、中盤からは徐々に精神のバランスを崩していきます。

この時、高杉さんはまだ10代半ばでデビュー後それほど経っていなかったと思うのですが、鬼気迫る表情に新人離れした実力を感じてびっくりした思い出があります。

 

4.資本主義の果て

「仮面ライダー鎧武」では、「禁断の果実」をめぐって仮面ライダー同士が争い合う構図が見られます。

テーマ曲にも「最後の一人になるまで……」というフレーズがあり、仮面ライダーのデザインも戦国武将をモチーフにしており、戦国時代ベースの作品にも見えます。

けれど別の見方をすると、競争をベースにする資本主義社会を表しているようにも見えます。

資本主義は競争原理が働くことにより、価格やサービスが適正化すると言われます。

けれど競争が加速すると、いずれは少数のものだけが生き残る社会になり、独占もしくは寡占状態になり、競争は起こらなくなるという矛盾もはらんでいます。

当然のことながら、その過程で中小企業は淘汰されていきます。

「仮面ライダー鎧武」の中で、仮面ライダーの一人、仮面ライダーバロンは、幼少時に父の経営する企業をユグドラシル社に買収されたことをトラウマとして抱える人物に描かれています。

また、現代の日本では、税と物価が上がり続ける中で賃金は上がらず、実質賃金は下がり続けています。この中では、労働よりも投資でお金を稼ぐ方がよい、と思う人が増えるのは当然でしょう。

少数企業に支配され、弱者が抑圧され、労働よりも投資に価値が置かれる世界。

「仮面ライダー鎧武」は現代社会の暗部を見事に描き出した作品と言えるでしょう。

 

テーマを抜きにしても、ストーリーがとても面白く、ラストも印象的な作品です。

未視聴の方は是非ご覧下さい!

それから、「鬼」をテーマにした「仮面ライダー響鬼」も面白いらしいですね(尊敬する鬼好き作家・加門七海先生が紹介されていました)。

こちらも鬼好きとしては気になっております。あ、もちろん赤楚さんのデビュー作、「仮面ライダービルド」も。

 

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

 

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