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たまなぎブログ by LTA出版事業部

『指輪物語』から『ホビットの冒険』そして『力の指輪』へ

皆さんこんにちは、珠下なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

 

今日はちょっと歴史ネタ・推しネタを外れまして。

9月より、AmazonPrimeVideoにて、『力の指輪』が公開されましたので、ちょっとこれについて語ってみたいと思います。

 

①『指輪物語』の思い出

『指輪物語』の映画、『ロード・オブ・ザ・リング』が公開されたのは、確か2002~2004年だったと記憶しております。

ちょうどこの頃私は超多忙な生活を送っておりました。家で睡眠をとるのも困難なほど。

ファンタジー好き、児童文学好きの子どもだった私は、10代の頃から『ロード・オブ・ザ・リング』の原作である『指輪物語』のことはもちろん知っていましたし気になってはいました。ただ、長大な物語であることと、「最初の説明なんかが読みにくいよ。ある程度話が進めば面白いんだけど~」との友人からの情報などから、つい手を出す機会を逸していたのです。

数年が経って生活が落ち着き、読書をする余裕もできた頃。1巻から購入して読み始めましたら、またたくまにあの壮大な世界に引き込まれました。

あっという間に全巻をそろえ、映画版も拡大版で制覇。

その後も関連書籍なども併せて、現在のコレクションはこんな感じになりました(笑)。

映画は映像が美しく、俳優さんもため息が出るような美男美女ばかり。もちろん息をつかせぬストーリー展開、迫力あるアクションシーンと、まさに「見る者を酔わせる」素晴らしい映画でした。

『指輪物語』が素晴らしいのは、架空の世界でありながら「作り物ぽさ」を感じさせないこと。

作者のトールキンはオクスフォード大出身の文献学者であり、子どもの頃から「言語を作る遊びをしていた」などのエピソードも知られています。

また、『指輪物語』は英国最大の叙事詩『ベオウルフ』からの影響を受けていますが、彼の『ベオウルフ』研究はそれまでの研究と一線を画すほどに高く評価されているそうです。

そして、多数の部族が対立する世界、異なる部族の出身者がパーティを組んで冒険するスタイルなどは、後のファンタジーやRPGに多大な影響を与えました。

 

②日本語訳の功罪について

そんな名作『指輪物語』ですが、残念ながら原作は今の子どもたちにはあまり読まれていないようです。

『指輪物語』は、児童文学研究・翻訳で有名な瀬田貞二先生を中心に訳されており、日本語版はとても詩的で美しい日本語でつづられています。

特に、「三つの指輪は 空の下なるエルフの王に……」で始まる「指輪の銘」はあまりにもリズムが美しいので思わず暗唱してしまったほど。

ところが、1916年生まれの瀬田先生の訳は、日本語としては美しいけれど少し古めかしく、今の子どもたちにはとっつきにくい印象を与えそうです。

たとえば、ドゥナダインの族長・ゴンドールの王たる資格を持つアラゴルンの異名(ストライダー・Strider)を「馳夫」と訳すのは今の子どもたちには違和感を与えるでしょうし(私もまだアラゴルンがどうして「馳夫」と訳されているのかよく分かりません、行動範囲が広く動きが速いから?)、ゲームや映画で様々なクリーチャーに慣れた今の子どもたちは、「魔狼(ワーグ,warg)」を「アクマイヌ」と訳すのは、少し迫力不足に感じてしまうかもしれません。

そろそろ新訳が出ないかなと期待しております。

トールキンのライバル、C・S・ルイスによる『ナルニア国物語』は角川つばさ文庫から、新訳と現代らしい可愛いイラスト付きで出版されており、小学生の子どもたちにも再び親しまれているようです。

『指輪物語』も、読み継がれていかないのはもったいない。是非新訳を期待します!

 

③『力の指輪』へ

『指輪物語』は悪意を持って作られた「一つの指輪」を、小さな人であるホビットが葬り去るまでの物語です。映画『ロード・オブ・ザ・リング』の公開から10年後の2012年から、ホビットのビルボが指輪を手に入れるまでの『ホビットの冒険』を映画化した『ホビット』3部作が公開されました。

そしてさらに時をさかのぼり、今度は指輪が生まれるまでの物語『力の指輪』シリーズがAmazonPrimeVideoで公開されました!

これは1回1時間ほどのドラマ形式。『指輪物語』の世界の、天地創造から指輪が生まれるまでの描いた壮大な物語『シルマリルの物語』を原作にしています。

今第3回まで公開されましたが、面白いですね!

『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』では印象は強かったものの比較的出番が少なかったエルフ・ガラドリエルが主人公の一人。

また、『指輪物語』の世界では伝説上の人物だったエレンディルやイシルドゥアが生身の人間として登場しますと、ファンとしては興奮します!

今回は白人だけでなく、アフリカ系アメリカ人の俳優を多用していることも話題を呼んでいるようです(これについてはまたそのうち詳しく書くかもしれません)。

『シルマリルの物語』は昔読破したはずですが、あまりに物語が長大で、ほとんど忘れてしまっています(『力の指輪』を見ていても読んだ記憶が呼び起こされない(汗))。

近いうちにまた読み直そうと思っています。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

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