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たまなぎブログ by LTA出版事業部

同性婚容認派と否定派の議論はなぜ噛み合わないのか②

皆さん今日は、珠下なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

今日は前回の記事の続きです。

前回の記事はこちら↓

『大江山恋絵巻~人の巻~』こぼれ話②茜の恋~襲(かさね)の色目

はじめに 皆さん今日は、珠下なぎです。 今日も来て下さって、ありがとうございます!   さてさて今日は、大江山の生活の中にちらりと見える、貴族の習慣と恋について解説しましょう。 恋のきっかけ ...

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同性婚容認派と否定派の議論がなぜ噛み合わないのか、それを「人権」の観点から考察します。

 

②「人権」に対する考え方の違い

1.人権という観点から見た札幌・大阪地裁の判決の違い

同性婚を一部違憲とした2021年3月の札幌地裁の判決は、同性婚を認めないことについて、「法の下の平等」を定めた憲法第14条に違反する、という判決を下しました。

憲法第14条は、5つの人権の一つである、「平等権」について定めたものです。

Wikipediaの解説には、こう書かれています。

”基本的人権の尊重とあいまって、日本国憲法の理念の一つを構成するものであり、基本的人権の尊重が、各人が有する権利の本来的保障を意味するのに対し、法の下の平等は、他者との比較においても十分な権利を保障することを企図するものである。

札幌地裁が同性婚を認めないことは違憲だと判断したのは、「同性間の結婚であることを理由に十分な法的保護を受けられないのは、法の下の平等に反する」から。

一方、大阪地裁の判決は、「同性カップルが受ける不利益については他の法的制度で解消されている」とし、憲法第14条に違反しないとしました。

けれど、前々回の記事でも述べたように、パートナーシップ制度その他によってカバーできる範囲は、婚姻に比べられてごくごく一部。とてもその差は解消されているとはいえません。

「人権」という観点から踏み込んだ判決を下した札幌地裁に対し、大阪地裁は「同性・異性カップルが受ける法的利益に対し、判決は『必ずしも等しくなくていい』と述べているように見え」る、と広島大学大学院の新井誠教授(憲法学)はコメントしてます。

札幌地裁の判決は「最大限人権に配慮した判決」、大阪地裁は「人権はそれほど重要でないとした判決」とも受け取れます。

 

2.同性婚容認派と反対派の人権に対する考え方の違い

いわゆる、「保守派」と言われる人々は、人権について抑制的な考えを持った人々が多いです。

一例として、少し古いですが、2012年の衆院選前、現在の与党の保守派議員として知られるとある議員の方が、同党の憲法改正草案についてTwitterで行った発言を取り上げます。

「国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です。国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持するには自分に何ができるか、を皆が考えるような前文にしました!」(同氏Twitterより)

よく、保守派の人々は「権利と義務はセット」「義務を果たさずに権利だけを要求する人間に権利をやる必要はない」と言います。

この議員の発言にも、「国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持するには自分に何ができるか」と書いてありますね。

今回の同性婚訴訟においての国の主張、「婚姻は共同生活を送って子どもを産み育てる男女に法的保護を与えるもの」と結びつけると、よく理解できます。

要するに、「国のために子どもを産んで増やせ! そんな義務も果たせない人間に権利はやらない!」ということ。

「天賦人権論」自体についてのこの議員の認識は間違っていますし、近代国家において「天賦人権論」を否定するのも間違っています。これのどこが問題なのか?

かなり専門的ですが、こちらのブログによくまとまっていますのでご紹介します。

天賦人権説(あるいは自然権)の否定は何が問題なのか? - 烏蛇ノート (hatenablog.com)

 

ざっくりまとめますと、

基本的人権は人間が生まれながらにして持っている権利であり、ジョン・ロックの思想を基礎に近代国家の根幹をなす思想となっている。(天賦人権説)。

天賦人権説の対極は国賦人権説(=国家が人権を与える)。

国賦人権説を取ると、国が恣意的に一部の人間に対して人権を制限したりはく奪したりすることが可能になってしまう。「義務を果たさない奴に権利はやらん!」という主張はこの説に基づいたもの。

 

つまり、基本的人権は誰でも持っている固有の権利であり、たとえ国であろうとも恣意的に取り上げたり制限したりすることはできないものなのです。

けれど今はいわゆる保守派といわれる議員の中には、あたかも国賦人権説を正しいものとしたかのような言動を取る人が少なくありませんし、彼らを支持する人に中にも同じような言動が見られます。

さらに厄介なのは、「子どもを産むこと」「国家に貢献すること」など、本来国民の義務ではないものも義務のように拡大解釈し、それができないから権利を与えなくてよい、などと乱暴な論理を展開する人がいること。

 

人権という観点から見て、容認派と反対派の主張を比べると、次のようになります。

同性婚容認派の主張「人権は誰にでも平等に保証されるべきもの。同性間の結婚だからといって結婚の権利が妨げられてはならない」

同性婚反対派の主張「人権は国家への貢献に対する対価として与えられるもの。同性間の結婚は国家に十分貢献していないから異性間と同じ権利は与えなくてよい」

 

これまた噛み合わないはずですね。

 

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

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