皆さんこんにちは、珠下なぎです。
前回までは、「節分の鬼と古代のオニ」と題しまして、節分の行事の中に受け継がれた、日本でも最古のオニのルーツについてお話してまいりました。
今日はすこし脱線して、古代の中国において、日本のオニの重要なルーツであると考えられる「瘟鬼(おんき)=伝染病をもたらす鬼」を退治する、五道大神についてお話ししたいと思います。
この五道大神は、①泰山府君の部下、②瘟鬼を退治する神様、③天部(てんぶ) という、三つの顔を持っています。
③の天部というのは、四天王や金剛力士といった、仏教を守護する神様たちの総称です。
四天王の一人である毘沙門天は、皆さんもよくごそんじなのではないでしょうか?
もちろん天部としての顔は、仏教が中国に浸透して以降、付け加えられたものです。
土着の神様が仏教にとりこまれる、ということはインドでも日本でも古くからおこなわれていたことですが、中国でも同じようなことが起こっていたんですね。
この五道大神は、「武塔神(むとうしん)」のルーツの一つと呼ばれています。朝鮮半島にルーツを求める説もあるようです。
この神様は、よく由来の分からない日本独自の神様なのですが、『釈日本紀』では「祇園を行疫神となす武塔天神の御名は世の知る所なり」と述べられており、初期の祇園信仰の対象は武塔天神であり、のちに牛頭天王(ごずてんのう)と称されるようになったと考えられます。
祇園信仰といえば、日本三大祭の一つである、「祇園祭」ですね!
祇園祭は、もともと怨霊を鎮めるための祭でしたが、疫病の流行が続いたたため、牛頭天王を祀って今のような形になったそうです。
祇園祭の胴元である八坂神社の祭神が素戔嗚尊(すさのおのみこと)であることからも分かるように、牛頭天王は素戔嗚尊とも同一視されるようになります。
素戔嗚尊もとても謎の多い神様で、鬼のルーツにも関わっているのですが、これはまた長くなりますので、そのうち機会があればお話ししようと思います。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました。